こんばんは。
「たぶん今回がいまの貸家で最後のパーティだから」と言い張ってはや……2年? ゆうべの、というか金曜日最後の客が帰ったのが土曜日の朝6時過ぎで(←いつもそう)、久々に猫よりにんげんのほうが多かったなあ。ビーフシチューはいざ作ってみたら簡単でびっくりしました。市販のルウ使うやつです。
わたしはそのまま徹夜で出張に行ったのでふらふらです。
さて猫の日です。366日が猫の日の猫奴隷である管理人、いつもはガン無視の猫の日です。
なかなか猫ずがもらわれていかないために相変わらず混んでる我が家。
噂によるとすでに今年の子猫が生まれ始めているらしい……
ネット経由の里親さんとの折衝などを手伝ってくれている友人が長年鬱病を患っており、いよいよ休みたいと言うので、今後ひとりでどこまでできるか心配です。限界感あります。
でもとりあえず猫の日。
わざと年号まで併記して令和2年2020年2月22日、景気良く「2」がいっぱい並んでます。試しにこれを猫語読みしてみると、「ニャンニャオーンニャオンニャンニャニャン」となります。
にゃんにゃん大盤振る舞いの日なので?? 薪にゃんのおはなしを書きました。青木のいわゆる「もっと頭よくてかわいい猫」です。
発祥はなみたろうさんのこちらのイラストです ↓
最近うかつにお名前出すことが多くて恐縮なんですが…… ←友達少ないやつみたいになってる(いや実際そうなんだけど)
いつもどおりすっごく短くてむやみにらぶらぶなふたりをどうぞ。
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やさしい獣
寝苦しさから解放され意識を取り戻すように目を開けると、寝室に持ち込まれたダイニングの椅子で青木が寝ていた。看病して心配して、そのまま眠ってしまったのが丸わかりの、袖を捲り上げたシャツのままで、長引いた捜査会議の果てのような姿勢で。
4時間前、せっかく青木が作ってくれた食事が進まないことを申し訳なく思って、勢いでワインをかなり空けた。胃腸が弱ってるのかな、と立ち上がった拍子に目が眩み、叫び声をあげた青木にかろうじて支えられたのは覚えている。寝間着に着替えさせ運んでくれたらしい。だが一眠りしたらだいぶ意識はすっきりしていた。
ベッドを抜け出すと空気にさらされた汗が冷えた。湿ったパジャマを脱ぎ捨てて、青木が落としていたセーターを頭からかぶった。袖も裾も余っており、女の子ならさしずめ短い丈のワンピースといったところだ。青木に近づいて膝の間に立つと、乱れた前髪をそっとよけて額にかすかなキスをした。
たぶん起き上がったときから、空気の流れや布のこすれる音で気付いていたのだろう。目を開けないくせに組んでいた腕がほどかれて、強い手のひらが薪の細い腰と太腿に伸び、状態を確かめるかのごとくなぞられた。
「熱は下がりましたね」
「うん」
「びっくりしました」
「ごめん」
抱き寄せられて距離がもっと近くなる。薪は両手で青木の頬を挟み込み、顎をあげさせて今度は唇に唇で触れた。青木の指と舌に力が入って、からだを調べられているのがわかった。
「疲れが出たんでしょう」
「せっかく来てくれたのに、悪かった」
「おひとりのときじゃなくてよかったです」
喋ると唇が触れる距離で続ける。「おなかすいてませんか」
「すいてる。ごはん」
「それに汗かきましたね」
「うん。お風呂」
「俺はどうしたらいいですか」
「おまえも欲しい」
青木が目を開けた。
「すっかり機嫌のいい猫みたいですね」
「今夜はそれでもいい」
「薪……にゃん?」
遠慮がちに言った青木の声に気の抜けた愛情を感じて、つい口元が緩んだ。
「おまえは世話焼きのワンコだもんな」
しっぽがあったら大きくゆっくり揺れるようなやさしい声で、薪は答えた。
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