雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

500色の色えんぴつ「 SLEEP DAZE 」

 

こんばんは。

部下に言われたんですが、局長が「今年度1年、オリエがおとなしくいうこと聞いてくれてよかった」って言ってたそうです。暴れることを期待されていたらしい。

ふっ 甘いな、まだ1か月も残ってるのに。そろそろ本領発揮せねば。

 

さてさて年度末はどなたさまもお忙しくなみたろうさんもお疲れなので、青木に働いてもらいましょう、いつもどおり。

色紹介のページが復活してました。今回はこちらです。

 

もう何度も書いたような話。という言い訳すら何度も書いてる。

 

奴が今回作っていたのはこちらです。

 

先日またでかい野菜便が来まして。右一列は猫バイトさんからです。

多い! ありがたいけど!

 

苦手な野菜や自分が調理しにくい野菜は一択でポタージュにする、という技を身につけました。まるごと消費できるし、少ない材料で作れるし、雑に作っても失敗しないし、あとから味の調整ができるし、冷凍保存できるし、食べるときも簡単だし。

左上から時計回りに、かぼちゃのポタージュ、じゃがいものポタージュ、カリフラワーのポタージュ、さつまいものポタージュ、ミネストローネ、ラタトゥイユ

 

今回緑色が加わったので、冷凍室がカラフルになります。

 

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SLEEP DAZE

 

 がちゃん、という音がしてびくりと振り向くと、ぼーっと立つ薪の足元で皿が割れていた。青木は反射的に「動かないでください」と声をかけたが、そもそもそんな気すらないようだった。

 さいわいガラスではなく陶器だったので、かけらを拾い集めてさっとハンディクリーナーをかけただけですんだ。大男が自分の周囲をくるくる回るのを黙って眺めていた薪は、済みました、と言われてやっと我に返ったように声を出した。

 「悪かった」

 「どうしたんですか」

 「指に力が、入らなくて」

 「ど――どこか、具合でも」

 「いや。ただ疲れてるだけだから」

 青木が来ていれば、ふだんはそんなことは事実であっても言わない。これは限界を超えてるな、と悟って抱き上げると、これまたふだんなら暴れて腕から飛び降りようとするのが、眠くなって甘える猫みたいにおとなしく運ばれたままだ。

 一瞬ソファと迷ったが、半端な仮眠では疲労がとれないだろうと、いさぎよく寝室まで運んだ。シーツのあいだに下ろしてベルトだけはずし、毛布を目元までひっぱりあげてやれば、ブロッコリが、とまるで青木の不手際で食べられなくなったかのように小声で苦情を言ってくる。

 「朝食にとっておきましょう。明日、早起きすればいいじゃないですか」

 「僕は眠たいなんて言ってない」

 既に落ちた瞼とはっきりしなくなってきた発音が、言葉とは違う事実を告げる。

 「一緒に寝ますから」

 「夜中に起き出して、家事の続きをする気だろ」

 それに文句を言われる筋合いはないんだけどな、と思いながら隣にもぐり込んだ。

 「早起きすればいい」

 「そう言ってるじゃないですか」

 「僕じゃなくて、おまえが」

 「……はい?」

 「だから、朝まで、一緒に」

 「……」

 寝返りを打った顔が近くに来て、おやすみのキスでもしてくれるんだろうかと見つめてみたが、恋人は既に夢の中に出かけていた。まぶたに差した影は高い位置の窓から降り注ぐ月の光にほのかに薄まり、唇は珊瑚色に輝いている。

 こんな疲れ切ってまともに立ってもいられないような状態ですら、その肌は、髪は、沈む瞳は、薄闇の中で発光するように美しく、青木をともに眠りに誘わない。早起きか、たぶんふたりとも無理だな、と吐息を分け合う距離に近づいて、朝になったら文句を言われる覚悟をした。

 

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