こんばんは。仕事で書いてたブツが仕上がって機嫌のいい管理人です。 ←職務の中で好きな部分だった
今年も締切2か月破りましたが、さすがに3年も同じことやってるとコツが掴めるというか前に書いたものが部分的に使えるというか、仕上げに時間がかからなくなった。
次は1月からためまくった書類を片付けますが、今夜からベッドで寝られるよ! 気持ちよく薪さんの夢でも見たいところです。
さてバレンタインデー用に、青薪じゃない微妙なやつを書きました。
曽我さんです。そろそろ卒業・就職シーズンということで、そういう話です。
このシリーズ(?)、多少混乱してきたので時系列で整理して番号を振り直しました。主に自分の整理用ですが目次も一箇所にまとめました。
ある猫たちのはなし1(曽我猫を拾う)
ある猫たちのはなし2(ツバメ)
ある猫たちのはなし3(ピロートーク)
4 → ある猫たちのはなし2.5(うなぎ)
5 → ある猫たちのはなし4(猫ドラッグ説)
「猫吸い」は上記の4です。
今井さんは前々々回、甲骨文字は前回の妄想です。再掲 ↓
順天堂大学は医科歯科大の隣にあって、天皇陛下の心臓手術と学費1000万円値下げにより偏差値あがりっぱなしです。
曽我さんが買ったのはこれ ↓
薪変換するとイベントも楽しいな、と思い始めた管理人です。 ←チョロい
白いバラで妄想してくださってる方もいるようですよ、うふふふ……こうやってあちこちでいろんな方が描いたり書いたりしてくださるのも、イベントの醍醐味ですよね。 毎度ちょっとずつズレたもの書いててすみません
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ある猫たちのはなし5
鼻の頭にキスをしたときの、ちゅ、という音が聞こえた。
「見ましたか、今の」
青木が曽我の肩を叩いた。
「あんなことされて黙ってる猫は珍しい、っていうんだろ。曽我猫、ちょっとヘンなんだよ。俺が寝返りうって潰しそうになっても、「んー」とか文句は言うけど布団から出ていかないし。はこべちゃんなんかしょっちゅうあいつを顔にのっけてハラ吸ってるんだぞ」
「それは羨ましいですけど、俺が言ったのは猫じゃなくて人間のほうです」
既にはこべの変人ぶりに慣れ切った曽我が、お茶を淹れる手を止めて顔をあげた。
「おまえ、付き合ってる人がいるって聞いたけど」
「――えっっ」
「はこべちゃんはダメだぞ」
巨体を誇るふたりは狭いキッチンの中で暑苦しく相手を睨み合った。
「どこで聞いたんですか」
「博士号とって、順天堂大学にポストもらったんだ。距離も遠くなるし、将来のある人の」
「そうじゃなくて。俺に付き合ってる相手がいるって」
「ああ。――確か今井さんが」
「なんで今井さんが知ってるんです」
「俺が知るかよ。とにかくはこべちゃんはダメだからな」
ふたりはお互いの情報の特定の一部にしか興味がなく、すれ違った主張をぶつけ続けた。
「はこべさんに対して邪心はありません」
「なんで」
「……「なんで」?」
「あんなに頭よくてかわいくて猫好きなのに」
もっと頭よくてかわいい猫がいるので、とは言えない。
「普段のおまえなら人間より猫を気にするくせに」
「ああ。それはすみません」
そういう焼きもちだったのか。「っていうか、なんですか順天堂って」
「助教になるんだってさ」
「いきなり? すごいですね」
「だろ」
「でも遠距離になっちゃいますね」
「バカ言うな。東京から猫のボランティアに来てもらえるわけない」
この人、どこまでマジでどこから隠してるつもりなのかな、と青木は思った。他人が口出しすることではないが、世話になった先輩の鈍さには一言アドバイスらしきことをしておいたほうがいいかもしれない。そう考えて話題の人物のほうを見ると、従順すぎる猫を胸に抱いてこちらをじっと見ている眼と視線がぶつかった。青木は早まらなかった自分にほっとした。
「はこべさん、ほんとに曽我猫が好きなんですね」
「そうだよなあ」
「会いに来るんじゃないですか」
「そうかなあ」
「新幹線で4時間か。飛行機なら半分以下ですね」
「詳しいな、おまえ」
遠距離の移動に慣れているから、とも言えない。
「食事にでも誘ったらどうですか」
「メシならしょっちゅう一緒に食べてる。うちで」
「いや、なんか行事にかこつけるとか」
「バレンタインデーの贈り物ならもうやった。猫の顔の形したチョコ入りマシュマロを」
「曽我さんがあげたんですか」
「はこべちゃんの甘いものの消費量はすごいぞ。頭脳労働だから」
薪さんだってそのはずなのに、あの人は糖分摂らせるとハイになるからな、と思う。
「おまえは何をあげたんだ」
「薪さんにですか」
「何言ってんだ、付き合ってる相手にだよ」
「え。ああ、台湾の故宮博物館から取り寄せた、甲骨文字の詩集を」
「またずいぶんマニアックだな」
「青いバラも添えました」
「それもマニアックだな」
「そういうのが似合う人なんです」
曽我がふうん、と興味なさそうな顔をした。
なんだ、俺がはこべさんに横恋慕する気がないってのがほんとかどうか確かめただけか。
「あの」
ひそひそ話がどこまで聞こえていたのか、猫好きのボランティアがリビングの向こう側から声をかけてくる。「お茶、渋くなりますよ」
「ああ。ごめん、こいつがからんでくるもんだから」
結局悪者にされてしまったので、青木は黙って猫たちの行く末を見守ることにした。
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