雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密の外国語 ウイグル語2

 

こんばんは!

仕事でウイグル語の参考書を買うことになり、Amazonで調べたらまあほぼ一冊しかなかったんですが、それも2か月前に発行されたばかり。わからんでもないけど……

 

言語学習者の数は一般的に、その言語が話されている国・地域の経済力と軍事力の強さに影響されます。不確定要素が多いため比例とまでは言いませんが。世界でいちばん学習者数の多い言語は英語で、これはもちろんアメリカの経済力と軍事力がダントツで世界一であることと深い関係があります。経済力が強い国はその国の文化的・社会的情報がメディアに載って拡散されるし、それによって商売相手としての必然性や憧れが出てきます。また軍事力が強い国についても同様で、軍事力ほぼイコール、カネ、ですので。一部に例外もありますが、国民を飢えさせて軍事力を強化している独裁国は経済的に豊かなわけではなく、人々の憧れを掻き立てることもなく、取引相手にもなりません。だからその言語を学ぼうと思う人はあまりいない。

アメリカの場合は特に、元々軍のものだったインターネットを無料で世界に開放したという戦略が功を奏しました。アメリカはもちろん親切でそんなことをしてくれたわけではなく、英語で書かれたプログラムが世界を支配することで、英語がバーチャルエリアの主流言語となることを目指したのです。これによって収集できる情報量がダントツに多くなりますし、自分たちの言語で簡単に情報発信できるようになります。

 

ということでまあ、中央アジアという経済的に貧しい地域の、ウイグル族という国を持たない民族の言語は、話者2000万人(ソース:Wikipedia)と決してものすごく少ないわけではないのですが、わざわざ学ぼうとする人はあまりいません。当然教材を作ったって売れないから、作られない。学ぼうと思ったからと言って学べるものでもないんですね。

ウイグル語だのカザフ語だのが「できる」薪さんは、はっきり言って異常です。どこで身に付けたんだ、ほんと。

 

で、冒頭の話に戻りますが、そのウイグル語の参考書が届くのを待ってるんですが、注文した時に「ほほう」と思ったことがありました。

そのテキストをご覧ください。アマゾンのリンクがうまく貼れないので書影を。

タイトル見て! 『ウイグル Tili』だって。

 

見覚えのあるこの単語、これですよ。

「tilingni が「おまえの舌を」」と解説する薪さん。そこだよ、tili 。

つまり tili とは、tongue なのです。「言語」であって「舌」なのです。

ここ、逐語訳すると、「舌・おまえ・引け」とかになるんでしょうね。どういう格変化とかどういう活用とかなのかな。

 

おもしろいですねぇ。ウイグル語はチュルク語族だから英語とはかけ離れてるのに、英語の tongue にもウイグル語の tili にも、同じように「言語」と「舌」という意味があるのです。同じ現象はフランス語にもロシア語にも見られます。

これは日本語の「舌」に「言語」という意味がまったくないことを考えると、ますます興味深い。こじつけですが「言語」に似た意味を表す「話」には「舌」という字は入ってますけどね。

 

ウイグル語はぐーぐる先生の翻訳だとアラビア文字で出てきてしまって読めないので、分析する手段があまりないのです。せめて薪さんがやってくれたようなアルファベット表記なら、考える余地があるのに。ウイグルコンピュータ文字以外にも、アルファベットつまりラテン文字での表記の仕方はあるようです。

今回注文した本、レビューが数は少ないけど高評価なので、楽しみです。が、レビュー書くほどこの本を使ってる人、やっぱり日本のどこかにはいるのね。なんかすごいね。