東京外大のサイトには、珍しい外国語を独習できる有名なモジュールがあります。
いろんなところでオススメされているのですが、知らん外国語をゼロから学ぶのに向いているとはちょっと思えない。
アラビア語をのぞいてみたのですが、たぶん誰でも最初に見ると思われる「01:挨拶する」で、いきなり「前回の講義でよくわからなかったことがありまして」とか出てきます。初回からそこまでできるようになることはまったく想定されていないはずですが、有名な「アッサラーム」くらい聞けるかと耳をダンボにしたけど出てきませんでした。
どんだけ難しいことをやってるか、は「日本語」を見てみると想像がつきます。
こちらも「01 挨拶する」というのがありますが、理解できるかできないか、身につくかつかないかはとりあえず無視しても、最初からすごく難しい。01なのにフツーに動詞が複数の活用形で出てきてます。
こんな感じなので、存在は知っていたものの長年タッチせず放置していました。
ところがこのたび阪大にも似た感じのがあり、しかもそちらにウイグル語があると聞いて色めき立ちました。
薪さん、ここで勉強したんじゃね? と思ったのね。だって他に学ぶ場所ないでしょ、ウイグル語。
あの方と同じ教材で勉強できる!! と思ったら、俄然学習意欲が湧いてきます。
ウイグル語についてこのブログですでにわかっていることは次のようなものです(ソース:ほぼウィキペディア)。
・アルタイ語族(つまり日本語にそこそこ似ている)
・ウズベク語に似ているというかほぼ同じ
・アラビア文字を使う
・話者2000万人
他のいくつかの言語と比較してまとめた表はこちら:秘密の外国語
阪大のウイグル語独習コンテンツ情報によると、話者は1000万人近い、ということでだいぶ隔たりがあります。日本語と語順は同じ、共通する語彙はほぼまったくない。これは、同じくというかウイグル語よりさらに日本語との縁が近いと思われる韓国語には似ている語彙が結構あること、特に漢語由来の名詞はすごく似ていること、を考えると、アルタイ語族とは言ってもウイグル語はだいぶ遠いといえます。
※ 日本語はそもそもアルタイ語族ではないとする考え方もあります
ネット上ではアラビア文字ではなく、「ウイグルコンピュータ文字(Uyghur Kompyutér Yéziqi)」という、推定ネット上で簡単に表記するためのラテン文字もどき(いわゆるローマ字みたいなアルファベット)を用いることが多いようです。中国語のピンインをラテン文字もどきで書くようなものでしょう。
Xが日本語のハヘホの発音に近いとか、文字≒Yéziqi(ロシア語で「言語」にあたる)とか、ロシア語の影響があるようです。スキット内に出てきた「日本人」っていう単語もロシア語にすごく似てました。
言語は周辺文化の影響を受けることがよくあります。日本やかつてはそれ以外の広い地域で大陸発祥の漢字が利用されていたことなんかはその代表例です。知人のモンゴル人によると、モンゴルは中国と仲が悪くてロシアと仲がいいので、古来からのモンゴル文字をもっと一般化することになったときに、キリル文字を採用したとのことでした。
ウイグルはユーラシアの中央の民族なので、ロシアの影響は強く受けて不思議はありません。
わたしは学生時代に第二(第三?)外国語でロシア語をやったので、いまでは全部忘れて自己紹介以上のことはできませんが、でもちょっとでも経験のあるものに似てるとなるとかなり親近感がわいてハードルが下がります。大学でロシア語やった人ってけっこういると思うんですけど、どうでしょうウイグル語。
阪大のスキットはプロの声優さんが吹き込んでいるそうです。
東京外大のアラビア語スキットの字幕がアラビア文字で書いてあるのに比べると、阪大のウイグルコンピュータ文字のスキットは、目で見て発音の見当がつくので初心者にはいいですね。
あと阪大のウイグル語の「第1課 今日は」は、ちゃんと初級用になってる。名詞文しか出てこない。ここは外大のとは方針がそもそも違う。知らん人がいきなり話しかけてきて割り込んで座って名前を聞くとか、シチュエーションはすごくヘンですが、まあ語学教材ぽいです。
練習問題にはいきなり「saqchi(警官)」とか出てきたよ! これだけで楽しい。
ちょっと練習したら、「薪です。警察官です。こちらは青木です。学生です。」なんて、例文作れそうな気がする。
中学生の頃、英語の勉強が始まったときに、当時の推しであったスケバン刑事こと麻宮サキを使って、練習問題をやってたんですよねー。「サキは学生です。18歳です。」とかさ。
結局子供の頃とやってること変わらんのか。
床暖があったかいことに気づきつつある猫ず。