雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密の人工知能2

 

フランス語3週目、フランス人の彼女の弟が、フランスから遊びに来ることになりました。いきなりラブラブ生活に邪魔が入る。

薪さんには兄弟がいないので、親しい方に代行いただきましょう。

 

「岡部が日本に遊び来るそうだ」

「あ、そうですか」

「うちに泊まりたいって」

「大歓迎ですよ。どれくらいいるんですか」

「3週間」

「3週間?! 日本人じゃないですね。いつ来るんです」

「来週」

「来週?!」

「安心しろ。ずっとうちにはいないよ」

「そりゃそうですね。観光するとこ、いっぱいありますもんね」

「それにひとりじゃない。波多野を連れてくる」

「あー、やっぱフランス人だ」

 

無事まだついていってるんですが、ドイツ語の語順の自由さに翻弄されています(二度目)。なんで目的語が動詞の前に来る?? そんな印欧語、聞いたことねーぞ。

連れ合いに尋ねたら「だからドイツ語は簡単なんだよ!」と喜んでましたが、理屈っぽいわたしにはかえって難しいです。

 

 

さて本日は、外国語はおまけです。メインはちまたで人気の? ChatGPTの話です。

生成型のAIに対するわたしの理解と思い込みは、次のようなものです。

人工知能がやることは基本的に計算のみ

・文章生成AIがやってることは、検索

まずこのへん書いたよな、と思って過去記事を検索したら、ありました。

秘密の人工知能

つい先日出てきてあれよあれよというまに広がったChatGPT、のような感じがしてましたが、3年前に話題になって記事にしてたわ。すっかり忘れてた。あれから3年かかった、と考えれば、びびるほど早かったわけでもない。

 

で、わたしの理解が上記のようなものなので、わたしはChatGPTには興味がなかったんですね。元データとなるインターネットの内部が嘘とデマばかりだし、生成した文章の真偽は結局人間が手動で確認しないといけないし、情報量が元々少ないものに対しては有効に働かないということも予想されます。つまり固有名詞が入ると精度が下がるはずなのです。

結局オモチャでしかない感想を持っていたのですが、ちょっと思い出しました。論文数が多くなって先行研究を調べるのも大変になってきたけど、それをどうやってやっつけるかというと、AIの登場だ。と、JAXAにいる同級生が語っていたのです。4年前に。そこに思いが至れば、おそらくAIの知的利用としては、

・関連資料の収集と選別

・要約の作成

・テンプレ型の文章や図表、スライドや資料の作成

に役立ちそうだな、と。

 

なんでそれを考えたかというと、時代の波の影響を受け、わたしも仕事関連でChatGPTに手を出さざるを得なくなったから、なんですね。ごくごく簡単な利用というか、まずは「なにに使えないか」を説明するための利用から入っています。

それで、登録して、それからすぐ参考書にあった短い文章を読み上げて音声入力し、要約を作ってくれるように頼んでみました。まあまあだったけどちょっと長かったので、3行でまとめろ、と頼んだらそれもやってくれました。なかなかよい。

そこは想定の範囲内だったため、次に「固有名詞が入ると精度が下がる」ことを確認するために、薪さんの名前を打ち込みました。ChatGPTに言語設定はなくて、日本語で打ち込むだけで日本語で返してくれるのですが、もともとのインターフェイスが日本語で作られていないので、変換のあとに確定のつもりでリターンキーを押すと送信されてしまいます。それで「薪剛の」までで送ってしまって、帰ってきた答えがこちら。

どうです、この堂々とした嘘つきっぷり。最後だけは合ってるけど、文としてはおかしい。「架空の人物として「も」」って、実在が先に来てるじゃねーかよ。

 

次に最後まで文を入れて質問してみました。

すがすがしいほど大胆な嘘つきっぷり。

 

この後もすごかった。

誰だよその少女。 ※二次元にいるようです

スケバン刑事』の設定がところどころ混ざってんだけど。

なおこの前段階で、『秘密』の作者は手塚治虫諸星大二郎尾田栄一郎にされていました。

 

理論上は、我々がネット上で薪さんの魅力について語れば語るほど、つまり検索対象となる大規模データ内に情報が蓄積されるほど、ChatGPTの出力も真実に近づくはずです。とはいえ薪さんは苗字だけだとついったにすら材木認定されるし、我々は彼を通常フルネームで呼ばないし、なかなかAIの成長には貢献できる気がしません。

これを証明するために、有名な固有名詞を入れてみました。

最後のジャズ音楽は違うんじゃないかと思うけど、あまりよく知らないので確証はない。前半は、めちゃ一般的な書き方にはなってますが、とりあえず合ってる気がします。

 

今回自分にとって新しい発見になったのは、次のようなものです。

最初に「少年探偵」と入れたのは、「コナンくんの魅力」を尋ねたところ、キャラではなく作品の魅力を説明されたからです。でも「少年探偵」と入れても同じだった。コンパクトな質問じゃだめなんだろうな。主語が途中で変わって文章がねじれてるのも気になります。

この出力により、

・AIは人間の言語使用の誤りも学習してしまう

・AIは表記が同じで中身が違うものを区別するのが難しい

という、まあ考えてみれば当たり前のことが確認されました。

 

先に要約を書かせてなかったらわたしは、ChatGPTの有用性には思い至らなかったんじゃないかと思います。上記みたいなおもちゃ的な使い方は、一瞬おもしろいけどわたしはあまり興味が持てないので。

当面は、仕事上何の役に立って何の役に立たないか、をチェックするために、ChatGPTとときどき付き合うことになりそうです。できればやりたくなかったけど、がんばるよ。涙