雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密の人工知能

 

こんばんは。

今日はAIの話が延々と続いて最後に申し訳程度に薪さんが出てくるというわけわかんない構成なので、そういうのに興味のない方は薄目で飛ばしてお読みください(自分がおもしろいと思ったことのご報告なので、読まないでくださいとは言いません)。

 

 

本日火曜日、第三管区在住のロシア系アメリカ人・イゴールさん相手のバイトの日だったのですが、最近はもうスカイプで「日本語を教える」というのはほとんど口実で、彼が興味を持った話題について話しながらたまに必要な語彙を提示する、程度以外では、はっきり言っておしゃべりしかしてません。先方の要望がそうなのでそれでいいんですけど。

 

今日彼が学んだ言葉は、「中黒」「露天風呂」「箇条書き」「奴隷」「肌色(=ペールオレンジ、という意味(この界隈では注釈が必要))」など。

話題があちこち飛ぶのですが、メインはAIでした。

 

で、何の話だったかというと、イゴールさんの本日の問いかけは、

「AIがこのまま進化して人間社会に入ってきたときに、たとえばAIが論文やニュースの文章を書くようになったときに、それが負わなければならない責任はなんだと思いますか」

というのものだったのです。

はっきり言って、何言ってんのかわからなくて。英語で言い直してもらったのですが、内容は同じで、日本語がうまくないからわからない、わけではなかった。

 

が、おりしも前日、

「「あまりに高精度の文章を作る」として危険視されていた「GPT-3」の書いた記事がソーシャルニュースサイトの1位に浮上」

という記事をネットで(珍しく)読んだばかりだったので、イゴールさんが言いたいことの雰囲気はなんとか理解できました。

 

タイトルを引用した上記の記事はわかりにくいので、関連記事を載せておきます。

wired.jp

 

このGPT-3というのは、ネット上のあらゆる情報から文章を集め記憶していて、それをヒントにして求められたタイプの文章を再構築する、という人工知能のようです。

わたしが何に驚いたかというと。

「機械に自然な言語を学習させるための最善最短の方法は、自然言語を分析してそれをプログラミングすることではなく、機械に大量の文章を暗記させて自ら分析させるブラックボックス的な手法である」

と、25年前に言語学が専門のわたしの(サークルの)後輩が指摘していたことが、ここに至って「進化しすぎたAI」として実現している、という事実です。

1年前に診断メーカーの話題のところでも同じことを書きましたが、それと基本的に同じ理屈です。

 

なお余談ですが、後輩を含め言語学者は、言語を分析することが仕事なので、こうしたビッグデータ処理的な手法は、言語学以外のところから生じます。

くだんの後輩も、「そっちのほうが簡単なのはわかってるんだけど、それじゃロマンがない」と言っていました、

 

イゴールさんとはここから、彼の根本的な問いかけである「人工知能の社会的責任」について話題が進んだのですが、まあ欧米人ぽい発想だな、と思ったりもしました。が、わたしがこちらで問題にしたいのはそこではありません。

これ、薪変換しておはなしのネタになりそうじゃん?? と思ったのね。 ←やっと出た薪さん

 

 

『秘密』は設定は近未来であっても、清水先生の意識としてはパラレルワールドみたいなものだから特にSF的な設定は(MRI捜査と偵察衛星1個くらいで他には)出してない、というはなしは、もうあちこち乱読したので出典がどこか忘れてるし探すのも簡単ではないのですが、とにかく何度か読みました。

そうは言われても、やっぱりせっかくだからなんかやりたいんですよ近未来設定。創作の幅が広がるから。

 

自爆したテロリストの脳の断片を拾い集めてMRIにかけたら本人は犯行声明とか全然関係なくて、おかしいなってあちこち調べたらそれが実はAIが書いたもので、とかさ。

怖くないですか、まるで人工知能に(実際にはないんだけど)意志があるかのように見える世界。ロボットの「不気味の壁」が、見てくれや仕草だけじゃなくてその行動=この場合には文章生成能力、にも感じられる瞬間です。

 

しかもこのへん、脳の研究に携わってて語学が達者な薪さんには、親和性の高いネタだと思うんです。

二次で書いたら色気皆無の話になりそうなので、書きませんけど。とりあえず書けないといつもどおり言っておきます。

 

 

堅苦しい話になったので、最後にごはん待ちの猫ずをあげて終わりとします。

左から、山本猫、今井猫、宇野猫、です。もらわれていく気配は、まっっったくありません。

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