先日、ロマネスコ・ブロッコリの形の秘密を知りました。「成長プロセスにバグ」がある植物なんだそうです。
「無限増殖」フラクタルそのものやん!! 自然界コワイ!
— 泉 織江 (@orie2027) 2021年7月17日
別件ですが元カレのひとりがフラクタルが専門で、会話したくて超文系のわたしも入門書3冊で勉強したんだけど、情報科学研究科所属でプラナリア飼ってた彼がなんでフラクタルやってたのか、いま理解した。「増殖」をやってたんだわ。 https://t.co/pc21uuWteX
いつ見てもコワイんですよねロマネスコ。実物は見たことないけど、たぶん触れないと思う。怖くて。これが怖くない人っているんでしょうか。
なんでコワイのかというと、この造形の中に永遠を覗き見るからだと思います。
上のついったで叫んでることなんですが。
元彼のひとり、歴代3番目に頭よかった奴が、大学院の博士課程在学中にフラクタルをやってました。
フラクタルとは、図形の一部分を拡大すると元の図形と同じ形をしているという、自己相似性をもつ構造のことです。自然界にはフラクタル近似の構造が普通にあちこちに見られ、ロマネスコもそのひとつです。ロマネスコがコワイのは、フラクタル近似の構造を持つ雲とか海岸線とかシダとかと違って、そのフラクタル性があからさますぎて肉眼ですぐわかるからだと思います。
フラクタルの脅威(恐怖?)を知ってもらうための追記:
上のついったにある右側の図形は「シルピンスキーのギャスケット」と呼ばれるとても有名なフラクタル図形で、左下(面積で1/4該当部分、上でも右下でも同じ)を切り取って元の三角形と同じ大きさまで拡大すると、全く同じ図形になる、というものです。簡単な式で(コンピュータで)作図することができ、この「切り取り→拡大→元と同じ」が理論上永遠に繰り返されます。
ロマネスコもひとふさの形が全体と同じ形をしており、その「切り取り→拡大→元と同じ」が肉眼でも最低でも3回は繰り返せてしまうところが、コワイのです。そこに成長プロセスとして「無限」「増殖」なんて語彙が出てきてしまったので、モロじゃん、とさらにコワイわけですね。ただし目が回るのはフラクタル構造のせいじゃなくてフィボナッチ数でつぼみをつけてるからだと思いますけど。
その元彼は他にも、プラナリアとヒドラという高校の生物学の「切っても切っても復活する」2大スターを飼っていました。どうやら当時流行りだした再生医療を、工学的見地から研究していたようです。
つまり「分化」「再生」「増殖」を研究するために、フラクタルも利用していた、ということですね。プラナリアとフラクタルがどうつながるのか、30年たってやっとなんとなく理解しました。
わたしはといけば、会話したくてフラクタルとカオスの入門書(※)を買ってきて、奴の研究室に夜中に遊びに行っては素人質問をしたものです。
※大雑把に言えば、フラクタルは構造についての、カオスは運動についての、複雑系の科学です
理系の頭いい人の中にはたまに、バリバリ文系の人間をそこはかとなく下に見るタイプの人がいるんですが、彼も微妙にそういうところがあって、それがわたしが超絶文系だったせいなのかただ頭悪かったせいなのか、どっちだったのかはわかりません。悔しくて頑張った。フラクタルの勉強?は楽しかったです。
少し前に「クマムシが怖い薪さん」の妄想をしてたんですが(※そのうちまとめます)、いま鈴薪月間なので、「ロマネスコが怖い鈴木さん」の妄想をしました。
鈴木「……薪。それ」
薪 「美しいだろう。織江さんにもらったんだ。ご実家が絶滅危惧種の専業農家だそうだ」
鈴木「ふ、ふーん」
薪 「ブロッコリみたいにエビと一緒にサラダにしようと思うんだけど」
鈴木「そいつを?」
薪 「せっかくだからこの形を生かした調理法がいいだろう」
鈴木「そうかな」
薪 「は?」
鈴木「オレ、ブロッコリはあんまり好きじゃないんだよね」
薪 「じゃあおまえはエビとパスタの部分だけ食べてれば」
鈴木「何もわざわざ形を残さなくても。ミキサーとかかけたら」
薪 「「わざわざ」ってなんだよ、ミキサーで潰すほうがめんどくさい」
鈴木「でも何もわざわざ形を残さなくても」←2回目
薪 「なにか気に入らないのか」
鈴木「気に入らないわけじゃないけど」
薪 「こんな見事なフラクタル構造、自然界といえどもそうそうないぞ」
鈴木「だからだよ。海岸線とかシダとかならともかく、ロマネスコじゃあからさますぎる」
薪 「……」
鈴木「それに目が回る」
薪 「フィボナッチってるからな」
鈴木「やりすぎだろいくらなんでも。フラクタルの上にフィボナッチ数なんて」
薪 「おまえまさか、ロマネスコが怖いのか」
鈴木「……」
薪 「なんで」
鈴木「永遠に増殖しそうじゃん」
薪 「科学者の言葉とは思えんな」
鈴木「オレは科学者じゃないの! 警察官なの。こんな宇宙の深淵みたいな野菜、怖くない奴のほうがおかしい」
薪 「僕だってちょっと怖いよ」
鈴木「嘘つくな」
薪 「ほんと。だからこれ以上増殖する前に、食ってやるんだよ。永遠を突き崩すのを手伝えよ」
鈴木「……うん」
短いおはなしにしたかったんだけどとりあえず会話で。機会があればまとめたいですがこれ以上なにか書くことあるかな。
なお実家ではロマネスコは作ってません、ほっ。