雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

「冬蝉」の年齢2

 

こんばんは。

「冬蝉」の年齢の話なんですが。先日ちょっと書いたので、今日のタイトルは「2」です。

ずっと思ってスルーしてても書いてしまうと気になるもので、脳内で検討した結果、ひとつの帰結に到達しました。

 

このコマなんですけれども(再掲)。

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ここで住田教授が言ってる「40年前」、これがポイントです。

「40年前」ってたぶん、薪さんの大学院時代から40年前じゃなくて、「冬蝉」の時代から40年前なんですよ。住田教授が言い間違った(……)のを、3人しかいないという激務の(←これは推測)メロディ編集部で、雑誌掲載時も単行本発行時も、チェックから漏れたんでしょう。

 

そうすると冴子さんの論文が『ネイチャー』に載ったのは、上のコマから見て(40年前マイナス冬蝉から18年前、で)22年前となります。

各時点での冴子さんの年齢は次のように訂正され、整合性がとれます。

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(表が見にくいので画像にして貼ってみました、スマホだと小さすぎますかねどうでしょうね)

 

上の表の冴子さんの年齢2パターンのタイムラグは18年となります。

これなら58歳を細川教授が「若い」というのもわかる。NASAに誘われた43歳は理論屋としては遅きに失した感がありますが、まあ巨額の国家予算が動くプロジェクトには政治的圧力も働くことだし、持参金(=冴子さんが自力で集める研究費)目当てだったのかもしれないし、NASAには理論家じゃなくて技術者だとみなされてたのかもしれないし。

※ 冴子さんにつらく当たるあまり辛辣になってますすみません

大学院時代、そこから22年前の科学雑誌をもらっても薪さんも困ったと思いますが、40年前(化石だろ)よりはだいぶマシですね。

 

あとは個人的に、冴子さんが研究できないのを結婚のせいにしていたところがたいへん許せないので、そこは一言苦情を述べておきます。

家事で忙しいとか単身赴任を止められたとかいうふうには見えないのに。万が一そうならそれはそれ自体が選択であり、自分の選択を結婚っていうか配偶者のせいにして怒鳴るのはみっともない。それは敗者の言い訳だ。

澤村さんのパターンじゃん! 負け犬で犯罪者の。 ←鈴木の怒りを借りてきた

 

 

ついでなので、冴子さんが細川教授を殺害してまで手に入れたがったプランクB衛星のデータについて。

地上の大型望遠鏡や宇宙望遠鏡、観測衛星、果ては大学にある大型計算機や巨大な電顕などは、基本的にその装置の所属機関が推定平均6割程度の時間を研究のために使っており、使ってない時間をよそに貸し出しています。だいたい有料で。通常1分単位で。

ハッブル宇宙望遠鏡などの特殊な機材(もう「機材」とか呼ぶのも失礼な気がするハッブル様)になると、観測の予約を入れて(←たぶん貸し出すだけの価値があるかどうか審査がある)実際に観測に至るまで数年待ち、というのはザラです。冴子さんは問題の論文を10年も書いてたそうですから、利用の申請が通らなかったか、科研費をとれなかったか、のどちらかだったんでしょう。

それになんぼそのデータが重要でも、それいっこ手に入れて病室のラップトップで数日で論文を完成させるとか、ありえんから。学生のレポートじゃないんだから。

ということで冴子さんの研究は全然たいしたことないし、当然ながら薪さんとは全然似てません。

 

わたしは住田教授の勝手な思い込みによる価値判断は露口絹子並みだと思っているので、それに関して多くを(語っているようで)語らない薪さんの心中が察するにつらくて、鈴木さんとのエピソードやあの終わり方も相まって、「冬蝉」はわたしにとって大変しんみりするお話です。日本語破綻。

 

 

以上、なんで今語ってるのかわからなくなってきましたが、7巻の感想?でした。