雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密の水彩画

 

NHKラジオ講座・ビジネス英語では、2か月ごとに各界の著名人などにインタビューをする企画があります。先月と今月の金曜日は、イラストレーターのケイリーン・フォールズさんがインタビュイーとなっています。

こちらにプロフィールがあります。

kailenefalls.com

 

講座や個展を開いたりテレビに出たりもしているらしいので、もしかしてご存知の方も多いのかな。

イラストを集めた 『日本のいいものおいしいもの』というエッセイ集が、2年前に出版されたそうです。

なんとなく見たことあるタイプの絵だと思ったんだけど、それたぶん、彼女の絵をどこかで見たんでしょうね。

 

7月12日放送のインタビューで、水彩画を選んだことについて次のようなことをおっしゃっていました。興味深かったのでご紹介します。

 

Q:デジタルペイントから水彩画に変えたのはなぜですか。

A:将来はそんなふうに変える人がもっと出てくると思います。とはいえたいていの人は伝統的な画法から始めて、それからデジタルに移るんじゃないかな。わたしはデジタルから始めたので、グラフィックデザインの会社に勤めるのにはよかったんです。デジタル画は修正が容易だから。でも会社に勤めていたとき、先輩に「この花をデジタルで、こんなスタイルで描いてもらえる?」「りんごはどう?」とか言われて、色々なスタイルを模倣する技術は身についたけど、自分のスタイルを見失ってしまったんです。仕事外で自分の絵を描こうとすると、自分で描いたとは思えない絵になってしまって、それが嫌だった。誰が見てもわたしだとわかる絵を描きたかったので、自分自身のスタイルを再発見するために新しいことに挑戦する必要がありました。

水彩を選んだのは、水彩なら消すことができないからです。他の画材だと、まあ鉛筆なら消せるのは当然として、油彩やアクリル画でも、ミスを白でカバーして消すことができます。でも水彩は下の色が透けるので、上にはそれより濃い色を重ねるしかありません。前より薄くすることはできないんです。最初の色を直感的に決めることを強いられ、それにしたがって描き続けるということが、次第にわたし自身のスタイルになりました。AIアートが氾濫する時代には、伝統的な画法の価値が上昇すると思います。

 

絵を描かれる方々には、普通の話なのかもしれませんが。

清水先生がインタビューでおっしゃっていた「失敗したときに取り返しがつかない」ってこういうことか、というのを、理屈で理解しました。

わたしは絵は描かないけれども根っこがアナログな滅びゆく恐竜にんげんなので、アナログ画法に戻る人が増えるんじゃないかとか、アナログの価値が上昇する、という語りには、なんとなく励まされました。それにアナログで絵を描き続ける清水先生のすごさを、間接的に褒めてもらったような気にもなってる。

 

これも水彩なのかな。

水彩だと乾いてもあとから水を足せば使えるから、最初から小さい容器に出して持ち運びできるんですよね。ケイリーンさんは持ち運びではなく、パレットとして使っているようですが。

とらちゃんのお母さんも昔、すっごく小さい絵の具セット+スケッチブックを持ち歩いてたことがあって、待ち時間とかにちょこっと絵を描いちゃうの。絵描きすげえ、って思ったんだった。

とはいえ文字書きのわたしだって、ケータイを忘れることはあっても本と書くもの(iPad含む)を持たずに出かけることはないからな。

 

これの前の回は、もう聴けないので記憶に頼ると、こんな話でした。

Q:絵を描くのにかかる時間はどれくらいですか。

A:数時間から数日ですが、それは絵を「描く」だけの時間で、実際には取材、調査、そのための移動など、多くの時間がかかります。

わかる、わかるよ〜、実際にはカウントされない時間のほうがずっと多いんですよね。そこがあるからこそのプロで、プロに仕事を頼むというのはそういうところ込み、であるんだけど。

 

 

ケイリーンさんのインタビューに興味を持った方、ラジオ講座のテキストを見ると、載ってるかもしれません。テキストを買ったことがないので、保証はありませんけど。音声データも購入できます。

っていうか本ですよね、買うとしたら。こういう本↓だそうです。

 

バイリンガルのガイドブックとしても使えそうなので、経費で買ってもらいます!