雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

メロディ2021年4月号 その3

 

今週最初のほうに第三にごはん食べに行ってたんですが、週末になって遅れた筋肉痛のようにどっと疲れが。今日(土曜日)は一日中へばってつかいものになりませんでした。あちこち読み逃げさせていただいてます、すみません。

2020年は出張が1年まるごとキャンセルされたので、第三は一昨年の台風以来です、たぶん。あのときも台風をネタ化したんだった(すみません)。

 

 

ところで「悪戯」編全体を軽く読み返してみました。もうちょっと語ります。

何人かの方々が指摘してらした「足枷か呪いか」、あれは結局なんだったのか……

清水先生って意外なこと回収したり(手紙とか ←意外じゃないのかな??)意外なこと放置したり(←児玉を撃ったのは誰かとか、あれは青木のガッツポーズで回収されたのかな)、我々読者の感情の波をけっこうあっさりスルーされるじゃないですか。今回の「足枷か呪いか」ばかりは、話の方向性が子供絡みなだけに、あまりにも悲惨になるのを避けて途中で方向転換したのではないか、と思ったりしています。

そう考えると他にも放置された感のある項目がいろいろあって、子供の頭部のMRIとか、中根みどりが光が来たことで泣くほど感動してたとか。

 

と、こまごまひっかかりはしたものの、通しで読むとよくわかる。今回の話は、真っ白な青木による光の救済の物語でした。

呼応するように最後に、薪さんが子供時代のフラッシュバックに苦しめられ、澤村さんの手を思い出したりお父さんにどれだけ大事にされたかを語ったりした、それが象徴的です。もう一回書くけど、「親に愛されたから」、薪さんが語るとなんて尊いの……

「足枷か呪いか、それとも」って、薪さんにとってもやっぱり「浄化される救い」だったんだと思いたい。それくらい崇拝してますよね奴のこと。

読み返して、からだ張って光を守ろうとした青木、わたしの中ではかなり株が上がりました。お姉さん夫婦が亡くなったときに何の迷いもなく舞を引き取り、結婚を諦めて(←)守り育ててきた、それと同じことをしてる。薪さんにもそうしてあげて! と言いたくなりますが、薪さんの視点から見たらたぶんしてるんだと思う、もう。だから薪さんは「反吐が出る」んですよね。 ←言い方

 

 

今回はさすがのわたしも(??)、ちょっと泣きました。

初めて告白しますが、実は、『秘密』を読んで泣いたことがなかったんです。こんなこと書いたら「はああ?? ふざけんなよおまえ」と思われるんじゃないかと怖くて隠してました(※嘘です、アホだと思われるんじゃないかと隠してました)。

よそさまの二次ではけっこう泣いてるのに、公式で泣いたことがなかった。たぶん読みながら脳みそ使いすぎてるのと、薪さんに対する思い入れがありすぎて感情が違う方向にぐわっと持ってかれるから、じゃないかと思うんですが……

今回は泣けました。薪さんの思いと青木の真っ白さに。

 

青木のそういうところって、青木だから許されるような感じがあります。けして好みの男性像じゃないけど、薪さんのそばにいて守り許されるのって、他人のためにすべてを投げ出せるような人なんじゃないかなって。それが薪さんにひたすら注がれたのが鈴木さんであり、全方位に注ぐのが青木なんじゃないかと。

わたし自身は理想の男性像が「アルセーヌ・ルパン、レクター博士パタリロボヤッキー」です。「パタリロ以外犯罪者じゃん」と指摘されたことがありますが、気づかんかった。パタリロは王様だから捕まらないだけで、実際犯罪みたいなことやってるし。「中はドス黒い」ってたぶんわたしのことだよ(なんの自慢??)。

よって薪さんのいう「連続猟奇殺人犯」が何を意味するのであれ、ついスルーして平気なのは、彼がなんであっても「理系で頭よければそれでいい」という、わたしの性癖によるものだと思われます。

 

薪さんご本人は、ご自分をあっち側の人間だと思ってる感じがありますが、お父さんの真似をして青木に照らされて、「「偽物」と「本物」の区別もつかなくな」ったのは、薪さんにもあるんじゃないかな。

ここはグリーン・ウッド』で主人公のスカちゃんのお兄さんが、「ずっと嘘をついてると何が本当かわからなくなる」ということを、薪さんと同じ意味で言ってたのを思い出しました。

 

 

あと「ただ ためしてみたく」について。

以前「広葉樹の森に秘密は佇む」というおはなしで、「クライトンが人生の絶頂期に、無意識に死のうとしていた」ということを書きました。

orie2027.hatenablog.com

 

これはクライトンの『インナー・トラヴェルズ』という自伝的エッセイに書いてあることです。

https://www.amazon.co.jp/インナー・トラヴェルズ%E3%80%88上〉-ハヤカワ文庫NF-マイクル-クライトン/dp/4150501718

クライトンが妹とスキューバダイビングをしていたとき、酸素タンクにつながるパイプの弁が閉じていて呼吸ができなくなり焦るのですが、そのときのことをクライトンは「それは不安ではなくて、偽装された願望だった」と語り、意図せず死に魅了されていた自分の心情を語っています。

 

これはよくわかる。そういう気分が生じることがある、ということが。

わたしの解釈では、「ただ ためしたくなったのだ」って、そんな感じなんじゃないかと思います。

 

 

最後に、清水先生は動物がほんとうにかっこよくてかわいい。アシさんなのかなあ? でもスキューバのやつでもどうぶつかわいかったです。どうぶつの図鑑とか作っていただきたいくらいです。

 

最後に最後に、iMacこんなんなってます。

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猫、めっちゃ邪魔する。

薪さんが横向きなので、ついつい青木に目が行きます。いや不満はないですよ、ワイシャツ(←)超絶かっこいいし。でもゆりさんのアンケでいうと「薪さんしか見てない」を選択した派です。