雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密の職業選択

 

前回 鈴木さんの誕生日の鈴薪話に洋楽のバラードを貼り付けて懐かしくなって、久々にそのへんじっくり聞きました。

学生時代にヘヴィメタのコピーバンドを組んでた話は何度かちらちら書きましたが(←エネルギー過多だったんです)、Extream の More Than Words は、歌ったよね。っていうか周囲の同級生、全員歌ってた。

「愛してるって言ってほしいわけじゃない。言ってほしくないわけでもなくて、態度で示してくれれば言わなくていい、ってことで」

ってこれ青薪ですね。二次の。

 

その点、同じく部室(※ 音楽とは関係のないサークルでしたが)で男の子全員が合掌していた MR.BIG の To Be With You は、わかりやすかったです。

鈴木「(友人なら)ずっと一緒にいられる。おまえは今まで傷ついてきたけど、大丈夫、俺が全部見てたから。そんなふうに笑うなら、ずっと一緒にいる」

こんな歌詞です。

 

Warrant の Heaven は、ちょっと違います。貧乏な労働者が疲れて帰ってきて、寝てる恋人を後ろから抱っこして(←ここだけ弊社の青薪)「いや幸せだし」とか言い張る歌。出だしに「昔の古い写真を眺めてたらいろいろ思い出した」という部分があって、その写真の描写が「もう戻れない平和な時代」を想像させるのです。

 

*  *  *

 

ところで先日見ていたアメリカのドラマ『NCIS:LA』に、

「育ちがいい警察官がいちゃ悪いってのか」

みたいなセリフがありました。

言った本人は実は汚職警官で、育ちについても詐称があったんですが、「頭いいやつがわざわざ警察みたいな(比較的)薄給の仕事を目指すのにはなにか心の傷的理由がある」ことが示唆されていて、実際アメリカのドラマの警察官とか捜査官ってほぼもれなくそれ(そうでなければ軍人あがり)なので、まあ鈴木さんを思い出したわけです。

 

「全国の文系の学生全員の2位」ですよ鈴木克洋。1位は薪さんだからメーター振り切ってるんで、実質1位ですよ。世の中を正したかったら、もっと手っ取り早い方法がいくらでもある。警察官なんてしょせん「公僕」で法の範囲でしか動けないわけですから。

影響力の大きさでいうと、東大文1ルートなら、財務省を経由して政治家の秘書→政治家とか、起業するとか、どっかの大学院に進学して大学教員になって後進を育てるとか、いくらでもあるだろう。

あのルックスならいっそタレントでも、と思って思い出したのですが、先日「いま東大生とかみんなゆーちゅーばーやってる」というわたしには理解不能なことを聞いて、目がテンになりました。もうこの世で「動画は基本的に見ない」のってワタシだけなのかとか思っちゃったよ一瞬。東大生ゆーちゅーばーず、もれなく頭よくて美人なんだそうです。なにをしゃべってるのかは(興味なかったので)忘れましたが。

 

薪さんはわかるんです。ご両親を殺された謎と理不尽さが心の中に燻っていて、自分の出生の秘密を知ったあとは心の傷は払拭されたどころかますます深くなって、それにどうせあの人天才だから何やったって成功するし、だったら「法を動かす」「権力を動かす」ことを目指してあえて警察官僚になるのは全然理解できる、というかすごくわかりやすい。

鈴木さんのあのすくすくさ、薪さんに「腹黒い」とか滝沢に「疑り深い」とか指摘されたって、あんなの「すくすく」の範囲だよ。なにを好き好んで警察官になんかなろうとするのか(←ひでえ)。

 

で、考えたんですけど、合法的な手段しか取らない一警察官でなくして動くためには(いや別に合法的な手段しか取らない一警察官でいいんですが)、先に相当エラくならないといけないわけで。

当然、将来設計図としてはそこが視野にあったんだと思います。東大法学部からいずれの省庁であっても官僚になろうとするような奴で、それを単純に職業選択の一環と捉えているだけで先の見通し(=天下り先とかも含む)を持ってないやつは、いません。

つまり鈴木克洋の子供の頃の夢が警察官、というのは、彼は「おまわりさん」になりたかったわけではなく、最初から警察庁長官になるつもりだったんです。

 

何が言いたいのかというとですね。

鈴木さんは薪さんに出会って、自分のその将来を捨てたんです。文系ではほぼ日本一の天才だったんですよ、彼は望めば何にでもなれたんです。でも薪さんに出会ってしまって、薪さんが別格というかもう存在自体が違いすぎて、「ついていく」とか「支える」とかそんな意識すらなかったと思う。ただひたすら「ずっと一緒にいられる」道を選んで、そのために自分の将来を捨てて、「えらく高くついた」けどそのことに何の迷いもなかったんです。

天才薪剛の出生の秘密を知る数少ない一人として、同年代では唯一の人物として、薪さんの心の傷を垣間見るどころか一緒に戦ったことで共有すらしてしまって、無意識の庇護願望が出たというのもあると思う。薪さんがなんぼちっこいからって、膝を曲げて目線を合わせたりしてるのがその証拠です(もう言いたい放題言ってますすみません)。

そんな相手のあんな笑顔とあんな涙を同時に見て抱きしめちゃったら、もう人生持ってかれてるでしょ、とっくに。 ←暴論

鈴薪の友情をあくまで固い固い友情としてわたしが限りなく尊いと思うのは、ここに理由があります。そりゃインプリンティングされたぴよぴよ薪さんが何の疑問もなくひたすら後ろをくっついていくわけですよ。なんで「後ろから」イメージなのかはひよこだからですが。

 

 

わたしは育ちが粗雑で生き方もいいかげんなので、鈴木さんみたいな、まっとうで社交的で「ちゃんとした社会人やってます」みたいなタイプの人には、薪さんとは全然違う種類の強い憧れを感じます。

あ〜あんなすくすくした人が貝沼事件でほんの数日で精神に異常をきたすなんて、耐えがたいのでわたしの中ではそのへんはちょっと微妙に書き換えられて違った話になってますが、でもいまさらのように「生きてたらなあ」と思ってしまった。なんで死んじゃったの克洋くん。話の展開上仕方なかったとはいえ、ゆえに悔しい。

 

薪さんの近くにはああいう人がいてずっと支えていてくれるべきだった、としみじみ思うけれど、薪さんご本人が「まっすぐな魂」だと思っている青木が代わりにやってきたので、奴には頑張ってもらわないとね。

 

と、なんとか青木にバトンタッチしたところで終わります。

Macの陰から出てきた宇野猫が顔もしっぽも超絶かわいいので見てやってください。

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