雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

秘密のケンタック・ノブ

 

今回おはなしではないのですが、マニアックな妄想を長くこじらせてます。

 

ペンシルベニアの大学で教えている友人がいます。仕事だけでなく向こうで結婚して家も買って生活拠点があっちにあり、でも実家がこっちにあるので年に数回帰国し、うち半分くらいは経費で、合計で数か月は日本にいるんですよ。 いい仕事だな……

帰ってくるたびにわたしんちに猫と戯れに来るのですが、先日来たときに、

落水荘、うちから車で3時間だよ」

と言われまして。いやニューヨークからあなたんちまでが半日かかるでしょ。

 

※ 青薪がフランク・ロイド・ライト落水荘を夢見るおはなし

 → SS「木洩れ陽」

 

北米人にとっては「となり」だよねその距離。車で5時間を「遠くない」、8時間を「まあまあ」、太平洋岸から大西洋岸まで何日も何日もかけて車で移動するの平気な人たちだもんね。

 

 

それで落水荘に行く青薪の妄想をしました。

まず車でないと行けないそうです。ピッツバーグ空港からレンタカーで1時間半くらい。カーナビついてれば難しくないかな。左ハンドルだけど。

薪さんがオープンのでっかい車を転がすとか、あるいは青木に指示出しながら助手席でふんぞりかえってるとか、萌えますね。あ、カジュアルな私服でサングラスもお願いします。なんか青薪より鈴薪のほうが似合いそうです。 でも忘れ去ってる初期設定をいかせば、青木にもサングラスかけさせれば薪さんがちょっとくらいぽーっとなる程度にはかっこよくなるはずだ

 

青木「薪さん……ほんとにこの道で合ってるんですか」

薪 「さっきカーナビがそう言っただろ」

青木「言っただろって言われても。スペイン語だったじゃないですか」

薪 「おまえスペイン語、わからないのか」

青木「っていうかなんでスペイン語のナビ……」

 

そんでわざとナビの調整もせずおもしろがってこじらせる薪さん。

薪 「青木、知ってるか。フランス語とロシア語は人称に似てるのがあって、外国人が同時に勉強すると脳が混乱するんだ」

青木「薪さんちょっと黙っててください、ナビが何か言ってるのに聞き取れません」

薪 「おまえさっきスペイン語はわからないって言ってたくせに」

青木「習ったことはないですが頑張れば名詞くらいは」

薪 「それにフランス語はアクセントがないけど、ロシア語はなんとアクセント記号の位置とアクセントの位置が違うから、ってなんでそんなところに記号打つんだろうな」

青木「薪さん……迷子になりたいんですね」

 

もちろんスマホで現在地は把握してるんです。

密かに(あからさまに?)はしゃいでる薪さん、青木を誤誘導して、落水荘のすぐ近くにあるもうひとつのフランク・ロイド・ライトの建築、ケンタック・ノブに行き着きます。

kentuckknob.com

 

青木「……なんか明らかに違うところに着いちゃったんですけど。でも」

薪 「でも?」

青木「似てませんか、雰囲気が」

バカじゃないんだな、と大変満足する薪さん。

(すみませんほんとに自分の趣味全開で妄想展開中です)

薪 「これもライトの建築なんだ」

青木「え。落水荘のすぐ近くですよね、ここ」

薪 「今夜はここに泊まる」

観光施設だっつーのにどんなコネを使ったのやら……(すみません都合のいい妄想を展開中です)。

「創世記」の「薪君が本来相続すべきだった財産」というセリフのおかげで、お金持ち設定の豪奢な妄想ができて嬉しいです。

 

↓  撮影禁止のため、珍しい内部写真のあるサイト

organichouse.jp

 

石造りの床! 暖炉! 行くのは夏でも山の中だから暖炉に火を入れてその前でセックスします(すみませんごめんなさい薪さんの夢(という妄想)なんです)。シャンパンあけながら。

青木「俺たち、地球を半周して、こんな遠くまでこんなことしに来たんですか」

薪 「不満なら——」

青木「まっっったくそんなことありません」

※ セックス「しに来た」わけではありません、ライトの建築を見に来て、そこでいちゃついてるだけです

床が痛いから毛布とクッション出しまくって、とりあえず青木が下になってください。

 

薪 「ワイン……」

青木「まだ飲むんですか」 注:最中です

薪 「セラーから取ってくる」

青木「さすがにそれはまずいんじゃ」

薪 「僕のが置いてあるんだ」

邸宅オーナーのイギリス人夫妻(=これ自体は事実だけど、その夫妻が研究者の知人つながりであるという都合のいい設定)に事前に頼んで、銘柄指定でいいもの仕込んでおいてもらってます。たぶんシャトー・オー・ブリオンの白でしょう。

毛布でぐるぐる巻きになって歩きにくいのをくすくす笑いながらふたりで地下のセラー(想像)まで取りに行くと、なんか目立つメモがついてる。

青木「なんて書いてあるんですか」 ←メガネはずしてる

薪 「——暖炉のそばのソファはライトの時代からの年代物だから、汚すな、って」

青木「……汚しては、いないです」

なんか高いところに置いてある薪さんのワイン。

青木「俺がとりますよ」

薪 「いいや僕がとる」

青木「あなた届かないでしょ」

薪 「💢 おまえ見えないだろ」

そして毛布を落として青木をよじ登る酔っぱらい薪さん。 ※ ふたりとも肌色です(言わんでいい)

青木「ちょ、まきさ、」←

薪 「届いただろ」

青木「いいかげんにしてください、こんなとこで悪さして」

薪 「まだしてない」

青木「しませんよ、万が一セラーごと倒したりしたら」

薪 「えらい額になるな……」

青木「何言ってんですか、いちばんの貴重品はあなたです」

ワインボトルを握りしめた薪さんを肩に担いで(←)、毛布拾ってずんずんと地下から今度はちゃんと寝室へ進む、なにもかもデカイ青木。酔ってないのかこいつ(いや酔ってるから担いだんでしょう)。

 

翌朝は寝過ごしてまだベッドにいるときに、管理会社の担当者と鉢合わせ。ラテン系の若いお姉ちゃんだといい、「あらまあ」とか笑われるといい。

青木「なんかスペイン語で笑われてますよ」

薪 「そりゃ笑うだろ……」 ※ ふたりとも肌色です(言わんで略)

青木「シャワー使っていいかどうか聞いてください」

薪 「名詞ぐらいならわかるおまえが頑張れ」

そして裸でベッドを抜け出す薪さん。 ←どうせ見られたしもういいやと思っている

青木「ちょ、まきさ、」←

後を追う青木を見て大声を出すお姉ちゃん。

青木「なんかスペイン語で叫んでます」

薪 「おまえ形容詞がわからなくてよかったな」

きっと「なにもかもデカイ」とか言ってたんだと思われます。

 

メインの落水荘はこのあと。そっちではどんな悪ささせようかな。 ←世界遺産なんですけど

ああ異国のはしたない妄想、自分だけ楽しい(すみません)。

機嫌がよくてお戯れが過ぎる薪さんなんて、本誌じゃ絶対見られないだろうなあ。……そうでもないか、あの暴走した特別編とか。読者が「こいつら付き合ってる!!」と色めき立ったあの特別編とか(遠い目)。

 

妄想にお付き合いいただきありがとうございました!