こんばんは。連日自力で引っ越ししています。
直線距離で隣の隣、ぐるっと回って道なりに行っても徒歩2分の引っ越しなのに、プロに頼んだら荷物が多いのでよんじゅうまんえんと言われ、やってられるか、と自力及び人力で、二週間くらいかけて移動します。
移動してるんですが、建築屋の仕事が終わった現在になってやっと家具屋さんの仕事が始まったため、書庫と台所といういちばん荷物の多い場所に搬入ができず、運んだものはリビングに山積みです。
こちらは書棚が作られるのを待っているぎゅう詰めの本と、一日かけて運んでくれた若者たち。
仕事の本は職場に置いてあるので、これはすべて趣味の本です。文庫のミステリのほかは、写真集・画集・詩集歌集・絵本と漫画が大半かな。
わたしの生活に断捨離という言葉はありません。特に本に関しては処分して後悔した記憶しかないので、もう二度と捨てない。同業者の中では特に多いほうじゃないし。
こちらは、引っ越し完了までに間に合いそうにないロールカーテンのサンプル生地です。
窓がでかくて数が多いのでカーテンだけでウンじゅうまんえんもするのですが(送料・部品・工賃込み)、高いと騒いでいたらツレに「どんな金額なのかと思った」と逆に驚かれたので、そんなものかと再検討中です。
カーテンなんて、たぶん今後ずっと換えないだろうな、と思ったのと、毎晩必ず見るものであることを考えると、あまり安っぽいのもなあ。
いずれにせよ1週間くらいは、窓に新聞紙を貼って寝ることになりそうです。新聞を手に入れねば。
週末は車屋さんがでかめのバンを貸してくれるというので、ベッドやソファなどの大物を運びます。いざとなったら人海戦術で、持って歩いて運んでもらう。
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さてキスの日です。あぶねえ、生きるのに手一杯でスルーするところだった!!
手持ちの短いのを放出します。今年初めにlilyさんからいただいて妄想だけしてた「お魚さん」ネタを入れました。安定のほのぼの青薪です。
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Kiss 4 ひとりではけっしてできないこと
薪が夕方の集荷に間に合うようにと急ぎの持ち帰り仕事を片付け、勢い任せにハンコを押しまくっていた時の事だった。
恋人が自分の範疇に帰ってくる気配を察したらしい青木が、それまで黙って解いていたパズルに向かってうなり声を発し始めた。
「うるさい」
「じゃあ解くのを手伝ってください」
「どんな問題だ」
「ひとりではけっしてできないこと。2文字」
「結婚」
「クロスワードですよ。それ、4文字です」
「喧嘩」
「だから漢字じゃないんですってば」
「釣り」
「ひとりでできると思いますけど」
「〝お魚さん〟が相手に必要だろ」
夕食に何食べたいですか、お肉とお魚さんとどちらがいいですか、と姪っ子相手の口調がつい出てしまったゆうべの青木をからかうように、薪が言った。
「……もうそれでいいです」
「おまえ、ほんとバカだな」
最後の承認印を押し終えた薪は、書類を封筒に入れ込むとプライベートの顔にたやすく戻った。ダイニングテーブルを離れて、ソファと一体化している自分専用の相方の膝の上に無遠慮にまたがる。
「誘い方がヘタクソすぎる」
「どう言えばよかったんですか」
「素直に、かまってください、って頼めばいいんだ」
「かまってください。俺をほっとかないでください」
「そしたらおまえは、何してくれる?」
「あなたが大好きな、ひとりではけっしてできないことをしてさしあげます」
「……添い寝?」
「2文字ですよ」
「おまえ、ほんとバk」
青木は今度はヘタクソまでは言わせなかった。
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