雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

メロディ2024年2月号 追加

 

本誌掲載の『秘密』を、っていうか単行本を始めて読んだときもそうだったんだけど、皆さんが易々と解釈して共感して盛り上がってるところでわたしは割と引っ掛かって「???」となることが多い(気がする)ので、ないと自覚している読解力のなさをますます確信させられたりします。

わたしが読解力のなさを発揮する(←ヘンな言い方)のは、特に物語において、です。ちなみに他人が喋った内容も、ちょっと遠回しだったりすると途端にわからなくなります。会話まで論説文の人なんです、わたしは(まあわたしが書いたものを読んで下さってる方々にはすぐわかると思いますが……)。

少し前に、退職した国語の先生と話す機会があって、世の中にはっていうか教員のあいだには、論説文がすごく苦手で物語文がめっちゃ得意な人が結構いる、と聞きました。まあそうだろうな、国語の先生って文学好きってイメージあるもんね。わたしは文学部出てるのに専門は言語と心理で文学読んだことなかったから。地方大の文学部出身で芥川も漱石もほぼ読んだことないとか、もはや自慢できるレベルです。同級生が9割とってる国語のテスト、わたしはいいときで6割でした。はっきり言って苦手な数学とどっこいだった。

つか論説文が苦手ってなに?? そっちのほうがわかんないんだけど。国語の教科書に出てくるような論説文、疑う余地のないわかりやすいレベルやん。

 

まあいい。これはただ読解力のなさを自慢したい(?)というか、それとついでにコミュニケーション下手をアピールしているだけであって、わたし自身は文学が読めなくても困ってません。頭いい人は文学を読んでいるという偏見と思い込みがあるせいで、自分の教養のなさにたまに落ち込むくらいで。

その読解力がないせいでトロトロと考えたことをいくつか追加しておきます。

 

 

要の妹のユリがでてきたじゃないですか。ふたりの母親の花鈴って,妹にいじめられて息子を大事にしてるかわいそうな人キャラだけど,名前までついてるし怪しいことし出すんじゃないかって,話の先行きが心配です。

SNSで広瀬拓也の精子をもらったあとに、要のことを前回「世界中に一人の私の子」って呼んでたのに、どういう経緯かその後「否定されてる自分そっくりの子供」を産んでるって,どこで何やって産んだんだろ。んでこの妹のユリ,ハクビシンの遺体にポーッとなってる要に動物殺した疑惑をぶつけてたけど,要は「は??」って顔してて,これは妹のほうが殺して兄に罪をなすりつけてるんじゃないかと疑っています。なんなら花鈴の妹がディスってたの,花鈴の容姿じゃなくて、もっとやばい内面なのかもしれない。

もーどうぶつと子供がひどい目に遭うの,見たくないよ……

 

あと広瀬拓也が自分の精子をばら撒いたのはとりあえずいいとして,儀式的なポーズを演出して殺したのは、そのポーズも殺した事実もなんか意味あんのかと思ったんだけど,ほらハシム・ヒラル・アイのときそんなのあったし。とはいえ実はポーズに大した意味はなくて、ただ単に殺人の遺伝子(という言い方は政治的に正しくないけど)が遺伝するかどうかを実証的に調べるためだけに殺した,ってそんな言い方があってればだけど,となると,鶏が先か卵が先か的な矛盾??を孕んで,青木が混乱すると思います(え)。

 

さらに追加:

ここで仮に早瀬拓也がたくさんの人々に産ませた子供たちの8割が、ほんとに殺人犯になったと仮定しましょう。それをもってしてすら、「確かに8割の確率で遺伝した」とはいえません。「全体」と「個人」は違うんです。10人の子供のうち8人が殺人を犯したら、言えるのは「早瀬拓也という個人の子供の8割が殺人者となった」ということだけで、そのことを持って「高い反社会性パーソナリティは80%遺伝する」という論説を導き出すことはできません。同じ80%じゃん、というのは、単純に「80」という数字がたまたまかぶっただけです。「高い反社会性パーソナリティは80%で遺伝する」ということが行動遺伝学で本当に言われているとしたらそれは、殺人者などの高い反社会性パーソナリティ(殺人が果たして高い反社会性パーソナリティを持って行われるか、ということはいまはおいておきます)をもつ人物の子供を最低でも数百人規模で調査したら、その子供たちの8割が高い反社会性パーソナリティを持っていた(それですら実際に殺人を犯したとは限らないのですが)、という全体の現象からきています。

早瀬拓也が東大に入る頭があって自力で行動遺伝学を勉強して、その上で本当にそんな基本的なことも理解せずに「自分の子供の8割が」って考えていたとしたら、それこそが「自分の思い込みのために事実を捻じ曲げている」反社会的なパーソナリティだな、と思いました。

 

 

あ、ところで早瀬がやった子供を増やす?手法ですが、以前CSIかNCISかどっちかでやってました。

不妊治療の専門医が、治療にきた女性に、彼女たちのパートナーの精子じゃなくて自分の精子を植え付けるんです。ドラマではその医者の子供、数十人じゃないかって言われててびびったけど、興味深かったのは捜査が進まなかったこと。

ことが発覚した理由は覚えていませんが、カルテを辿ってここんちの子供もあの医者の精子を使ってんじゃないかって突き止めても、親にしてみれば子供はもう産まれて育ってる訳で、育ててきてるわけで、今更違うよって言われてもね。生きてる人間だからね。さらに不妊治療して生まれたんだからまた子供を持てる保証もないわけで。

で、結局ほとんどの親は、捜査員を無視して何事もなかったかのように子供を育て続けることを決めて、子供のDNA検査にも同意しませんでした。まあそりゃそうだ、調べてわかったからってどうもならんし。捜査員たちはその医者を起訴する証拠が手に入らずモヤモヤしてましたが、親からすれば他にとれる道はないですよね。

 

今回の「DNA」編は単純に子供を増やすことが目的じゃないから、花鈴以外の女性の子供たちが表に出てくることはたぶんないんでしょうけれど。CSIだかNCISだかを見た時には、親たちの決断は当然だしどうしようもないし、子供への愛情も見られてよかったと思ったものでした。

 

 

SNSでの匿名の精子提供って、実際あるんでしょうね。

そういえば「子供の「出自を知る権利」が尊重されドナーの情報開示も必須に」っていうところ、へええと思った。いや少し前っていうか昔は、開示を求めて頑張る子供の映画とかドラマとか、何個か見たよね。調べました。

 

(引用はじめ)

「私は何者なのか?」。三者精子提供による人工授精、AID(非配偶者間人工授精)。生まれた子どもたちはこれまでに国内で2万人いるとされています。長年、「生物学上の父を知りたい」と訴えてきましたが、日本では精子提供者は匿名が原則超党派議員連盟が「出自を知る権利」の仕組み作りに向け動き始めていますが法案提出にはいたっていません。

(引用終わり、下線部オリエ)

出典:出自を知る権利とは 日本の法整備は AID・進歩する生殖補助医療の陰で - NHK クローズアップ現代 全記録 2023年6月7日(たぶん放送日)

 

法律では定まっていないそうです。

では法律でないところではどうなっているのかというと、こちらに講演の報告を見つけました。

ルーツを含めた出自を子どもに知らせる必要性 はらメディカルクリニック

(引用はじめ)

日本におけるAIDは1949年から慶應病院ではじまりました。医師は「AIDで子どもを生むことは夫婦だけの秘密にするように」と患者に話していました。当時は、AIDは夫婦だけの秘密にするべきだという論調が圧倒的で、それは医療者だけでなくマスコミも同じだったそうです。そして日本だけでなく世界的にもAIDは秘密に行うべき治療とされていたそうです。精子ドナーは匿名、親は子どもに真実を伝えない、つまり「秘密は墓場まで持っていく」というコモンセンスです。

(引用終わり)

このあと、「2022年11月3日に開催された第67回日本生殖医学会で、大会長である東京医科大学産科婦人科学分野教授の久慈直昭先生の会長講演の引用」というのがあります。この講演自体は学会員じゃないと調べられないようになっているので(←調べた)、上のページにあるまとめをぜひお読みください。タイトル通りの「必要性」がよくわかります。

 

で、上のページのあとがきに「「子どもへの告知は必須にしてほしい」というJISARTの方針」という記述があります。

JISARTとは「日本生殖補助医療標準化機関」の頭文字で、「不妊治療を専門とするクリニックによって結成された団体」だそうです。

https://jisart.jp/jisart/

法律とは違うところで、民間の専門家たちによって、「ドナーの情報開示が必須」になっているけれど、それは努力義務というか紳士協定みたいなもので、法的な縛りがあるわけではないんですね。

 

いろいろ調べた結果なんとなくわかったのは、

日本には法的に認められた精子バンクはない(各医療機関などが独自にやっている)(20210624)

AIDは日本では産科婦人科学会の規定で無精子症の夫婦に限られ、選択的シングルマザーや性的少数者は受けられない(20200904) 

これは、だからSNSでやってる、という話が中心です。花鈴のようなシングルの人も、医療機関では精子提供は受けられない(学会の規定だから法律違反ではないけれど医療機関がやってくれない)、ということです。

・法律で禁止されているわけではない(というか無法地帯ぽい)ので、性的少数者カップルに精子を提供した医療機関もある(20211203)

「DNA」編は、話題としてはかなりタイミングがいいようです。

 

 

あとすみません、前回必要ないんじゃないかって書いた「タイミング法」、あれ、精子提供のひとつの手段なんですって。つまり薪さんが「死ぬだろ」っていった「ヤル」やり方も、精子提供の方法としてあるんだそうです。だったらチューとハートマークはいらないだろ。まあ早瀬拓也もこの方法で精子を提供したこともあるのかもしれません。みなさんはちゃんとそこまで読解してたでしょうね。

大昔のハート(バンド)の歌で、「雨の夜に通りすがりの男を引っ掛けてワンナイトスタンド、黙って精子をもらって子供を産んで、何年か経って道端でばったり会ってそれがバレて男がびっくりする」歌がありました。なんじゃそら、とわたしは「???」でしたが、精子バンクのない時代のやり方(??)と言えるでしょう。

All I Wanna Do Is Make Love to You

YouTubeを貼ると「再生できません」と表示され結局飛ばないといけないので、最初から文字で貼っておきます

 

それにしても早瀬拓也の育ての母、殺人犯×犯罪者というカップル?の子供をどういう理由で引き取って育ててたのか、養育を放棄しなかったのはいいとして、子供に「育ててしまって」「殺してあげられなくて」ごめんなさいって、再度書くけどこいつのほうが十分サイコパスでしょ。

 

あとくだらないことですが、みんなが使ってたSNSの「Z」って、ついったつまり「X」のもじり?なんでしょうね笑 ラインはラインなのにね。

SNSなんて相手が言ってることがほんとかどうかの確証はないのに。だから花鈴みたいに、物腰を含む見てくれが基準になっちゃうんだろうな。わたしは理系の天才じゃないといやです。

 

 

確認のために前回のメロディも復習してたんですが、先輩である雪子さんを男日照り呼ばわりしたスガちゃん、自分が見た幻覚ならぬ生きてるイケメンが、その日照ってると思ってた先輩の彼氏だと知って、自分の恥ずかしさを学んでくれたならよかったんですけど。

鈴木と薪さんが並んで立ってたら、普通はどう考えても鈴木だよな、と思いました、すみません。薪さん怖いし、凛としすぎてて近寄りがたいし。やっぱあの方の手綱を握れるのは、鈴木くらい天才で鈴木くらい余裕があって鈴木くらい穏やかな爽やか好青年か、青木くらい物おじしない怖いもの知らずか、どっちかじゃなかろうか。あと殴られても罵られてもついていく岡部さんか。

 

取り止めもなく萌え語り??しましたがだいたい終わり、たぶん。

本誌連載が始まると脳みそが疲れますね。次回まで4か月、もう来年度で春じゃん! 冬至も過ぎたし、メロディのこと考えただけで既に日が長くなったような気がする! 次の鈴薪・青薪の活躍を、勉強しながら待ってます。

みなさまもお元気で。