こんばんは。
鈴木氏の誕生日です。書けると思わんかったな。なにしろいま、これなもんで。
新着。2きょうだい+1。これで仔猫ず6にんになってしまった。シーズンだからなぁ…チーム室長さんズ以来の大所帯です。
— 泉 織江 (@orie2027) 2023年7月3日
久々に状態が悪い。三毛なんか目から出血してる。野良猫写真撮るひとたち、こういう猫に会ったことないんだろうか。映えないからスルーしてるのかな。野良さんなんてこんなだよ pic.twitter.com/j1Rt1azj2M
地域猫のお世話をしているボランティアグループから預かった、この春生まれた仔猫ずです。全員病気。集団避妊手術、もう2回もしてるのに、今年も16にんも生まれたんですって涙 もうボランティアさんのおうちも、タッグ組んでる保護猫カフェも、みんな満杯でみんな財政難。
この子たちはわたしが出張って素手であっさり捕まえられたので、いまはまだ怒って暴れてるけど、病気が治れば馴れてもらわれていくと思う。
少し前にどっかの写真家だか企業だかが「かわいい野良猫写真募集!」っていうとっても迷惑な企画をしてて、保護活動者界隈で炎上してました。
今回の3にんは一般人の目にさらすことをためらうほど、風邪の状態が悪くてひどい顔をしています。野良ってこんなよ、ほんと。「保護されて野良さんでなくなって、新しい家族がみつかって、おうちの中で幸せに暮らしています」っていう「かわいい元・野良猫写真」ならまだ許す。それでもそこにいたる苦労なんか、野良さんを「かわいい」と思ってる輩には通じないだろうけどな。
さて鈴木の誕生日に戻ります。
実は今回はお見舞いなんです。鈴木の誕生日はこのさい、ついでです。
ぽてとすさん お元気になられますように。お見舞いです。 https://t.co/cjH8KQbkzm pic.twitter.com/Rujif1dtUg
— 泉 織江 (@orie2027) 2023年7月4日
ぽてとすさんの2年前の鈴誕のイラストに、お話をつけさせていただきました。
おりたたみのあと、ベタ打ちです。読みやすいほうでどうぞ。
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夏の瞳
「なあ。こいつら、薪が育てたら」
熟練の技で真っ赤な和金を2匹掬い上げた鈴木が、夏の陽光にきらきら光る流線形の姿をしみじみと眺めて言った。
「長期休みには研究のために数週間家を空けることもあるのに、動物の世話なんかできるか。横浜に持って帰れよ」
「うちは猫がいるから」
両親から出禁をくらっているのをいいことに、鈴木は薪が知らない適当な言い訳をした。
「俺も手伝うからさ」
「なにを」
「育てるのを。餌やりを」
「水をきれいに保つほうが苦労が多い」
「いいじゃん。それを理由に家に帰るようになる」
「学問より魚を優先しろっていうのか」
「学問以外もたまには優先しろって言ってんの」
鈴木はビニール袋の小さな水槽を薪の頭に載せた。「家の中に生き物がいれば、おまえも簡単に死ねないだろ」
「――なんだよその理屈……」
薪は鈴木の飛躍した論理と、突き出された屋台の食べ物と、目の前の光景すべてに呆れた顔をした。
「金魚の餌やりは簡単だし。一日一回でもいいんだってさ。成長速度が遅くなるだけで、寿命にも影響しない」
「生命科学の専門家に講釈を垂れるのか」
「あっハイ。そうでしたすみません」
頭からおろした淡水魚を目の高さに持ち上げてやると、ゆらゆらゆれる赤いひれが瞳に反射する。見上げた視線の先にはいろいろな夏の景色がある。
「確かに水棲生物にはちょっと惹かれる」
「だろ。そうだろ。おまえに似合うと思ったんだ」
「生命の起源ぽいとこ、あるし」
「うん、うん」
「鳴かないし、懐かないし」
「うん。――うん?」
「でも、やっぱりいらない」
空の青。緑の木々。乱反射する液体の中で泳ぐ流体。榛の目が映して混ぜる、夏の色だ。
「ええ。いい案だと思ったのに」
「いまはもう、勉強以外にも大切にしてるものはある」
「そうかな」
「それに家の中にも、しょっちゅうデカイ生き物がいる」
「あ。そう」
鈴木はあっさりと引き下がった。「つまり俺は、金魚を運ぶ前から既にいい働きをしてたってわけね」
そして通りすがりの小学生に、あげるよ、と赤い宝石を託す。
「いろんな意味で」
それはよかった、と鈴木は思った。水中の生き物たちも、より幸せになれる環境に落ち着きそうだった。
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