こんばんは。
Macとキーボードのあいだのこの狭い空間は、うちの猫さまたちに大変な人気です。混んでるときは3にんくらい詰まってます。
嬉しいけど正直邪魔なんで、せめてキーボードを守って仕事を続行するために、大昔に買った便利なガラスのキーボード保護テーブルを、ずっと愛用しています。
高かったんだ、これ。フリーター当時いちまんえんもして、すっげ迷って買った記憶がある。でもこれがあると猫さまがこの上にのっかっても一緒に(?)作業できる、という猫屋敷必須のすぐれもの。
で、そのお邪魔さんが赤ちゃんだと、上の写真みたいにテーブルの下にもぐってこられるので、あまり防御できないわけです。しかたないからせっせと遊ぶ。
なぜなら遊んでやらないと、飽きてよそに行って、病気の猫さまの安眠の邪魔をするからです。こんなふうに。
おとなの猫さまの中にはいろいろな性格のひとがいて、仔猫の世話をしたがるひと、ガン無視して逃げるひと、気が向いたとき遊んでくれるひと、さまざま。
こちらはもともととってもおとなしいうえになぜか毎回仔猫にからまれるひと。体調がよくないので休ませてやりたいんだけど、おとなしいから仔猫がつっかかる。
赤ちゃんも朝の起き抜けは、若くて元気な元・赤ちゃんに突進します。
起きるととりあえずだんごになってひたすら遊ぶふたり。 pic.twitter.com/ytBMssicwf
— 泉 織江 (@orie2027) 2022年9月8日
本日はこの「起きるととりあえずだんごになる」がテーマなんですが、また例によって自分の中で整合性をとるために追加した小ネタのほうがメインになってしまった。
こういうことです。先日ラベンダーを刈り込んだのです。
家を建てた時に裏に植えたもので、手入れしていなかったのでぼうぼうでした。こんなふうに。
※右側の雑草てんこもりの土部分は裏の空き地
アフター写真もありますがみすぼらしいので割愛……とにかく刈りまくってすっきりした。
それを束ねてごみに出そうとしていたところに連れ合いから電話がかかってきて、今回薪さんがしゃべったようなことを言われて、わたしが「は?」となった。というのを追加しました。ら、そっちがメインの話になってしまったので、そういうタイトルにしました。
少し前にこんなの呟いたせいもある。
薪さんて絶対加齢臭ないよね。
— 泉 織江 (@orie2027) 2022年8月14日
あってもそれ自体がいいニオイ。ずっと鈴蘭だったのに最近ラベンダーの匂いがしますね、とか。
去年は花を詰んで、活用したんですけどね。ほんとにポプリにしたかったら、満開の時に刈るのがいちばん香りが立つそうです。今年は咲いたまま乾燥させてしまったので、来年トライする。
とにかく、長いいいわけをしましたが、ほんとは「起き抜けにぎゅってだんごになる青薪」を書きたかったんです!
またしてもただ眠ってるだけの青薪です。わたしの力量というか、弊社のデレない青薪では無理でした。
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ラベンダー・ブルー
窓を開けて眠るには少々肌寒い季節になった。高層階の東に開いた朝を取り込む枠は広くはなかったけれど、湿気をはらんだひやりとした気配がそこを抜けて頬を撫でた。明け方の青い光と空気の両方を遮るように、広い胸が作る影に顔を寄せて隠れた。青木の腕が肩を超え背中に回ってブランケットを引き上げ、薪はすっぽりと翼の下に入った。
「……おまえ、いい匂いがする」
「俺じゃないです。あなたですよ」
しばしの沈黙のあと、同時にゆうべのやり取りを思い出した。
「「ラベンダーだ」」
半月ばかり前に、庭木を増やしたんです、と青木から報告があったのだ。
「久住高原の花公園を見て、舞がおうちの庭にも欲しい、って言い出して」
風通しのいいところに3本植えて、密になってきたため早々に枝を刈り込んだのだという。
「切ったやつはどうした」
「もう咲いてたので、花瓶にさしてあります」
「あの、花を入れた袋があるよな」
「……ポプリのサシェのことですか」
「あれがいい。あれはいい」
「おっしゃる意味がわかりませんが」
「枕の下とかに置いておくと、いい匂いがする。ラベンダーには精神を安定させる作用があるから、安眠できるし」
電話の向こうの庭師は、だいぶ長いあいだ沈黙していた。
「どうした」
「ちょっと、意外だったもので」
「ラベンダーは、好きなんだ」
「そうみたいですね」
「米と一緒に炊いたりしないのか」
「えええ。それはちょっと」
「だけどクッキーに入れたりカプチーノに浮かべたりするだろう。食用に使えるってことだ」
香りの成分や効用の話を続けて、アルコールに沈めれば精油が浮かんでくるなどとも言ったが、薪にしてもさほど本気だったわけではない。だから青木がシフォンの小袋を持参した昨日は、正直ひどく驚いた。
「作ってくるとは思わなかった」
「あれ。いらなかったですか」
「いや。おまえにそんな作業ができると思わなかっただけで。嬉しい」
小さなおみやげは当初の提案どおり、枕元におさまった。窓を閉めて眠ったほうが効果的だったかもしれない。清涼でほんの少し妖艶な微粒子に喉の奥をくすぐられて、味わったアロマが吐息まで潤す。いつもの部屋の気配がいつもより穏やかだった。
「でも、あんまり、必要なかったかな」
「ええ――……」
「だってポプリなんかなくても、ちゃんといい匂いがする」
「ああ。それは、あなたですよ」
肌も髪も、まばたきからも、あなたはきらきら光るような香りがします、と青木が言った。「俺だとしたら、あなたとくっついてるせいです」
そうして互いの首筋や胸元に鼻を寄せて、朝の空気を吸い込んだ。ラベンダーの薄い色彩が、ほのかだがはっきりとシーツのあいだに漂っている。
境い目がわからなくなるくらい抱き合っても、しっとりと愛される以上のことをふたりでひっそりと共有したくなるときがある。一緒にいることでシェアしたり混じり合ったりするなら、それをもっと試したかった。薪はからだを寄せて青木の枕に自分の頭を載せた。それから寝にくい姿勢で猫みたいに絡み合って、早すぎる休日の覚醒を逃すように、薄紫色の眠りに戻った。
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