雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

SS「おたより」

 

こんばんは。

木曜日にわたしの喉を通った内視鏡のせいで、5日たった本日もまだ喉が痛くて咳が出て声がガラガラです。今日は仕事で喋ってる途中で声が出なくなって、代打をお願いしました。いやこれ施術した人が下手くそだったんでは、と思わざるを得ない。

 

あと週末にずっと下痢をしてたひとがいて、ゆうべやっと誰なのか同定できたのですが、わかったとたんにその猫さん、一晩中トイレの住人。しかも同時にゲロ吐きまくり。一晩で猫砂一袋使ったんじゃないか。しかも朝になったらもうひとりにうつってて、そっちも上から下からゲロとゲル。

今朝朝イチで病院に行って、検査して、注射してもらって薬をもらって、やっと落ち着きました。いまのところほかのひとにはうつっていないいようなので、今夜は落ち着きそうです。

 

 

その激混みの猫の病院で、待ち時間に書き始めて一気に仕上げた、学生すずまきです。例によって誕生日とは1ミリも関係ありません。すずたんの前夜祭としてあげました。

 

 

ガチャはたしかこれだったような。2、3個回してお題を探したので違ってたらすみません。

odaibako.net

 

中に出てくる「経済の教授」とは、プレミアム関係の悪くない人のつもりです。

教養部1年、事件のあとの誕生日頃、事情を聞かれに行くところ。

折りたたみのあと、ついったと同じものをベタ打ちです。

 

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おたより

 

 「次の時間、「国際関係史」とってる人、いる?」

 教養科目の「宇宙科学」の終了後、三々五々席を立っていた学生たちの何人かが、鈴木の問いかけに手を挙げた。

 「俺」

 「俺も」

 「あたしも」

 「吾輩も」

 最後を無視して三番手の女子に目をつけると、ちょっと待って頼みたいことが、と手元のレポート用紙を破り取り、さらさらとなにやら書きつける。

 「薪がいるはずだから、渡してほしいんだ」

 「鈴木くんは、出ないの」

 「経済の教授に呼ばれてて、公欠で遅れて行く」

 「薪くんは、これとってなかったの」

 「こんな基礎教養、あいつは教える側だよ」

 話しながら10行ほどこまごまと書きつけると、鈴木は薬包紙のようにそれをたたんで、ポケットになる部分にプロテインチョコレートを入れた。

 「はい。おまけ」

 配達物と同じおやつを5個ばかりも、お遣い係の手にも載せてやる。

 「あ。ありがとう」

 「あいつ朝も昼も絶対なにも食べてないから、口に入れてやって」

 「……あたしが?」

 「餌付けしないと食わないし、薪は気にしない」

 こっちは気にするんだけど、という声が届かなかったのか、鈴木は階段教室の長椅子長机のしつらえを背中側に飛び越え、じゃ、と鞄を拾い上げて去っていく。

 「あいつら、一日中ほとんど一緒でずーーーっと喋ってるくせに、文通までするのか」

 選択されなかった学生がその背中を見送って呟いた。「なに書いたのかな」

 「そういう好奇心の防止策で、おまえを選ばないで、おまけにわざわざチョコを突っ込んだんだよ」

 「じゃああたしのぶんはお駄賃っていうより、賄賂だね」

 「っていうかあいつ、薪のための食料まで持ち歩いてんの」

 「そんでもって遅刻する時間も待たせられないの」

 「そしてなぜかちゃんと冷えてるチョコレート……」

 さしもの東大生からしても、天才ペアのやることは違って見える。残された学生たちは栄養食のお裾分けを受け取って、教室をわいわいとあとにした。

 

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