雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

SS「戒め」

 

こんばんは。

今月は28日が月曜日、前日が日曜日なんですね。早売り地域の方々は、一足遅い(?)クリスマスプレゼントでメロディ2日も早く読めるのもしかして?? レビュー読まずに我慢できるだろうか……

あと2週間です、気を取り直してそれまで真面目に働きます。

 

そういえばそのクリスマスも、あと12日とかって誰かが呟いてました。日付変わってクリスマスイブまでだったらあと10日です。恐ろしい……こうやって歳とっていくのね。

 

 

さてこの週末は職場で払い下げてもらったスチール本棚を解体して自宅に運んで組み立て直して設置したり、前回の記事のぶりを消費したり、と常ならぬことをやっていました。

ぶり、1日目はよかったんですけど、2日目になると刺身用に切ることすら面倒になってしまって、ぶりのせいではありません気力の問題です。レンタルさんとこによく、「ひとりだとさぼってしまうから同伴してほしい」系統の依頼が舞い込んでるのですが、それを見るたびに、そのやる気のなさ、わかる! と共感してしまいます。今日はわたしはレンタルさんならぬ秘密クラスタのみなさんに励ましてもらって、無事ぶりの照り焼きを温め直して食べることができました。 ←こどもか

 

で、食後に仮眠を取ろうと思っていた(※ こう書くとただの自堕落な人生ですねほんとすみません)ところへなみたろうさんの薪さんが流れてきたので、寝るどころでなくなってしまいました。

こちらです。

 

猫だよねこの薪さん……。

煽られて、あっという間におはなし書きましたよ管理人。だって青木が男前で薪さんがかわいいんだもん。

 

上のなみさんのついったにページメーカーの画像で貼り付けてありますが、ちょっと長めで3枚になったので、こちらはベタ打ちで下に貼ります。読みやすいほうでお楽しみいただければと思います。

なお、作中になみさんの「全部おまえのせい」のわかりやすいオマージュを仕込んでおきました。なみたろうさんの支部で探してね!

 

* * * * *

戒め

 

 

 間違えて「ただいま」と言ってしまった。まあ実のところそんなに間違いってほどでもないし、でもそれが理由でないならなんだかわけがわからない。

 疲れていたのは確かだと思う。ふたりとも忙しかったのだ、俺が部屋に到着した時点で薪さんはまだ仕事着だったし、俺はといえば、上着を脱いだらホルスターをつけたままだった。あ、と思った、だって俺の銃の腕が壊滅的だというのはこの人には大昔にバレていて、立場もあるしそれ以来かなり継続的に練習している事実は秘密で、昼過ぎにやっと解決した捕り物がそこまで大掛かりだったことは報告していなかった。

 銃がらみではこの人に心配をかけてきた。なにか辛辣な嫌味を喰らうか、また気を遣わせるかと、とりつくろう言いわけを考えて脱ぎかけのジャケットから半分袖を抜いて止まっていた。すると薪さんがつかつかとまっすぐ寄ってきて、内心を押し隠した無表情で俺を小突いた。不意打ちによろめきすぐうしろのソファに倒れ込み、そのままのしかかられて眼鏡を取られた。

 触れ方は荒々しかったが怒っているふうではない。感情がその段階まで到達していなかった俺は、多少混乱しながら、不明な意図が触れてくるのを割合冷静に観察した。

 温かい唇にほんのわずかなかさつきがある。またいじったな、保湿してないな、と舌で表面をなでていけば、返すように長い指が俺の胸元をさぐってボタンをはずしていく。半端に残っていた上着が肩を滑り落ち、脇を戒める革のバックルを左手で解放しようとしたときだった。

 「そのままでいい」

 ……なんだって?

 「つけたままで」

 「あの……」

 「全部おまえのせいだからな」

 「な、なにがですか」

 「今日は黙ってろ。動くな」

 ネクタイの結び目を緩めようとした手も阻まれた。首から肩までは東海岸の刑事みたいなかっこうなのに、シャツの前ははだけられ薪さんの爪とキスが胸の上を這い回って、からだの表面が波立っていく。とうとうベルトがはずされそうになり、そっちはよくてこっちはだめなのか、と俺は思わず発情した恋人を押しとどめた。

 「なにすんですか」

 「この体勢で物理の講義でもするように見えるか」

 この人ならやりかねない。

 「俺が出会い頭に押し倒しても抵抗するくせに。シャワー浴びるって言い張って」

 「今日はだめだ。濡らしたら革が縮む」

 ついに奇行を封じる言葉を失った俺を上目遣いに見つめて、征服欲だか情欲だかいろんなものが入り混じった艶やかな頬が、見る間にぱあっと上気する。そんな視線を向けられたら、脱げと言われようが脱ぐなと言われようが、俺は従う以外にできることがない。

 「ひとつ、お願いが」

 「なんだ」

 「言ってほしい言葉が」

 「だから、なんだ」

 ほら、この目、この唇、企みがうまくいきそうで漏れ出すいたずらっぽい微笑。翻弄されて熱があがって、頭がくらくらしてきた。戯れにしては悪さが過ぎるな、あとで仕返ししないと、とか今はまだ思ってられるけど、今夜は俺のほうが理性がもちそうにない。

 

* * * * *