雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

SS「暮れる影」

今年も終わります。こんばんは。

 

年末年始も帰省もせず(猫いっぱいいるんで)、決算総まとめみたいなテレビも見ず(再三報告しますがテレビを持ってないので)、出勤こそしませんが完全に平常運転です。ソファが10か月ぶりにワークステーション化しています。

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……ところで猫ずに破壊されたiPad Proのキーボードカバー、経費で買おうとしたら にまんえんもしやがって(猫の破壊力甚大)、残りの予算がたりなくて買えませんでした。年度持ち越しです。しかたないので当面、余ってたBluetoothキーボードを持ち歩いてます。

 

薪さんは青木と付き合ってない時代は、年末年始は働いてなければブランデー片手に映画見て寝落ちして「鈴木……」とか思ってたのかな。

 

 

去年の今頃は、マンガパークで『秘密』を大統領からシーズン0まで通しで確か2回読んだ頃で、

・1回目の感想=なんかよくわからないからもう1回読もう

・2回目の感想=なんか気になるので紙で買おう

ってアマゾンでポチってたんじゃなかったかな。

つまり1年前はまだ薪さんをあいしてなかった、っていうか愛を自覚してませんでした。

 

今年は薪さんへの恋に落ちて、沼に嵌って、30年ぶりに二次を書き、普段使わない漢字を学び、妄想しまくって、よそさまの作品も堪能させていただき、いろいろ交流させていただき、大変有意義で充実した一年を過ごさせていただきました。

ほんとにいい年でした。と言いたいところですが、こちらではご報告しませんでしたけれども実は曽我猫のあともうちのおとな猫をふたり病気で亡くし、大変つらい年でした。半年で3度も火葬場に行ったので、動物霊園の人に覚えられてしまいました。まだ健康に不安のある猫がたくさんいて、通院に追われる日々です。 

今年も生きてくのは1ミリもラクになりませんでしたけれど、薪さんに出会って、おなかが減るようにしあわせも感じるようになりました。おかげさまで脳みそお花畑です、てへっ☆ ←年末なのでキャラにないことを書いてみた

 

来年というかこのまま日々の延長で、変わらずどうぶつに人生を捧げて、薪さんをあいして妄想します。今年はエネルギー過多で暴走気味だったので、少しトーンダウンしたいです。生き方そのものを。

あと2年前からのびのびになってる引っ越しがどうも年度を越しそうな勢いなので、いいかげんうんざりしてますがなんとか乗り切ってせめて次の鈴薪祭りの前には新生活を始めたいです。

他にもいくつか細かい野望がありますが、新年より新年度の切替のほうが重要なので、あんまりピンとこないですね。新年の豊富とかって。

 

ワークステーション内部の岡部猫(左)と今井猫)

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ピンとこないなりに、大晦日の青薪というか青木です。

お礼とか感想とか下手くそで、そういうとこだけあっさりめになりがちですみません。2019年、のぞいてくださった方々、ありがとうございました。また仲良くしてください。

 

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暮れる影

 

 

 除夜の鐘が遠くから聞こえてくる。鳴りはじめは舞を寝かしつける準備の合図だった。大晦日の特別感に浮き立つ姪っ子がなんとかおとなしくなった頃には、煩悩をいくつ数えたのかわからなくなった青木の部屋に、早い時間よりも少しだけはっきりと、静かな響きが忍び入ってきた。

 声が聞きたいと思って無意識に端末を手にしていた。だがかの人が自分のめめしさの半分くらいしか許容してくれないとわかっていたので、なかば我慢比べのような気持ちで、音が鼓膜に届くたびに、美しい恋人の美しい部分を数え上げてみる。

 唇。まつ毛。涙。頬。爪。指先。髪。魂。揺るぎない瞳。心臓。血。

 その姿を思い浮かべるのに、たいした想像力は必要なかった。俺の網膜にはあの人の姿が、印画紙みたいに焼き付けられちゃったんじゃないかな、と思う。あるいはMRIの画のように。捜査用の装置では再現できない、声や、熱や、視線までも。

 呼吸。虹彩。真っ直ぐな後ろ姿。傷。キスの痕。揺れる瞼。

 次にあの人の香りを感じて、生きているからだに触れられるのはいつだろう、とまた少しひよわなことを考える。発光する肌。にじむ輪郭。微笑み。輝き。誇り高い名前。青い画面の、

 「あれ」

 我慢できなくなったのは電話の向こうの佳人のほうだった。ふいにこみあげるせつなさで胸が痛む。

 まなざし、呼ばれる俺の名前、体温。薄灯かりの中で暮れる背中。俺の半分くらいは、薪さんも甘い寂しさを感じたのかもしれない。

 かけさせてしまったことを申し訳なく感じて、青木は闇に眩しい文字にそっと触れた。

 

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