こんばんは。
青木ワンコ(仮)が庭で遊んでいるスキに、ワンコスペースでくつろぐ猫室長さんズ。
今井猫のこのカッコ……。
今回が当ブログの100個目の記事となりました。
はてなブログは拍手ボタンとかがないのでキリ番みたいなものを目にする機会はないと思っていたのですが、ふと編集していたら「99」の数字が。そして今回が100。記念日などは気にしないタイプですがでも、けっこう書いたな、とは思いました。
以前も言いましたけれど早く週1くらいの更新に落ち着きたいです。こんなに長く錯乱状態が続いてたら(そしてメロディの発売日ごとに前後1週間ずつ使えなくなってたら)、あまりにふがいなくて薪さんの側にも寄らせてもらえないくらい頭悪くなるんじゃないか、と本気で怯えています。
で、このさきこういう機会があるとは思えないので、100個目記念をなんかやろうと思って、手持ちのネタから井 辻 朱 美さんの美しい短歌でいつもよりさらに短いSSを。 「秘密」文字書きさんの中では自分の書くものがいちばん短いんでは……(←根拠もなくなんとなく頭悪そうだと感じています、って今日2回目だよ自分の脳みそを心配してるの) 特に記念になってないですね。
物思いにふける青木。いつものごとく起き抜けから薪さんを崇拝中。薪さんがなぜきれいなのか、その理由をやっと理解したもようです。
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朝の惑星
そっとカーテンの開く音が聞こえた気がした。重い布地が擦れて東の低い太陽が差し込む。顔を照らされて、眩しさと温もりに青木は目覚めた。手を上げて影をつくり、少しずつまぶたを開ける。
窓に向かって薪が立っていた。羽織っただけの白いシャツを透かしてからだの輪郭が浮かび上っている。夜の静けさの中で触れて感じるよりも、目で見る恋人の姿はいつもずっとしっかりしている。しかしその朝は空気感が違っていて、肌も髪もシルエットの縁が日光にぼやかされ、薪の姿は異星の一角獣遣いのような、この世にない者を統べる威厳と静謐さを纏っていた。
恒星が動き窓から虹が差し込んだ。空気中の塵が幻のように輝いてゆっくりと沈んでくる。青木は薪の名前を呼ぼうとしたが、喉が閉じていて息も声も出せなかった。
少し前まで、薪の中に潜むこうした異世界は青木にとって恐れでしかなかった。力を抜いたらこの麗しい人は、向こう側の世界に落ち込んで戻ってこなくなる気がしていた。最近やっと薪をその空気の中に置いておけるようになったのは、どんな朝がその宇宙なのか、青木が自分で気がついたからだ。
そのあとの眠りから目覚めると、あなたはいつも鮮やかに美しい。俺を置いてあまり遠くへ行かないでください、そのたびに引き留めたくなって、また強く抱いてしまうから。
薪はひとつの惑星で、世界はその周りで回転するだけだった。青木は宙に浮かぶサテライトでしかなかったが、惑星の重力を引き出すくらいの力は、この蒼ざめた月にもあるらしかった。
し ん じ つ に お も た き も の は 宙 に 浮 か ぶ 惑 星・虹・陽 を 浴 び た 塵 井 辻 朱 美
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でもたぶん薪さんは、青木のほうが自分の太陽だと思ってるはず。そして絶対にそれを言ってやらない。