雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

SS「二度目のこと」

こんばんは。

↓ほんとの意味での雑記なので小さい字にしておきます

ツレがどこだからわからない海外から帰ってきました。今夜は第三管区で東大の大学院(宇宙物理)に進んだ男の子とブラックホール談義をするとのことで、LINEで実況中継が入りました。

相手の男の子、まー本物の若者ですので、ヘールボップ彗星を知らないとかSL9を知らないとか映画『コンタクト』を知らないとか(たぶん全部生まれてない)、もう世代差ってコレかー!という隔世の感があります。

本人も、全宇宙のエネルギーの90%を占める(と言われてるのに誰も観測したこともなければ兆しもない)ダークエネルギーについて、「教授が授業で「何もわかってない」って言っててオレおかしいと思うんすよ」とかなかなか面白くてわたしは早速妄想に入りたかったんですが、ブラックホールでつまづいてるのにダークエネルギーは無理だなと思った次第。

ああ会話に入れるくらいの理系脳が欲しかった。涙

 

 

さてバカを嘆く余談は終了。

今日、千堂咲誘拐事件を読んでたら、青木が若くてびっくりしました。薪さんもやっぱ若いんですが青木の若さときたら当時24歳ですから。 今日の院生と1個しか違わない コドモだろ。で、薪さんの計らいで仕事を抜け出して雪子さんといちゃついてたりして、地味にイラッとしました。 いかんデフォで青木をいじめてしまう、誰か止めてください

 

前回2月のメロディで青木にイライラしたあと、欲求不満がたまって我慢できなくなるまでだいたい2週間くらい、立ち直るまで3週間くらいだったんですけど、今回は早い。もうたまってきた。 ←言い方

あ、でもよく見たら前回も1週間後にはエロいの書いてた ←だから言い方

 

前回も、「青木には薪さんに対してどこまでもどこまでもやさしい存在でいてほしい」って、あんなにお願いしたのに。

いまそれわたしの中で鈴木さんの役割になってる、うう。

 

青木をひたすら反省させるおはなしとかもありまして、でも気分的に少しだけラブい成分がほしいので、少しだけラブい成分のある 薪さんが足つった話をあげます。青木が何回も謝ってるし。

 

 

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二度目のこと

 

 かすかな唸り声が聞こえて、青木は一瞬で目をさました。

 「薪さん。どうかしましたか」

 春の薄ぼんやりとした明け方の光が部屋を満たし、視界にさらりとした髪とそれに続く細い首が入る。食いしばった呼吸で肩がほんの少し震えている。

 「足。つりそう」

 「え」

 反射的に掛け物をめくると全裸の背中があらわになった。

 「寒いーー」

 「すみません」

 毛布を被り直し、少しもぐって薪のふくらはぎに手を伸ばす。「右ですか左ですか」

 「左」

 言われて触れれば強張った感触がわかる。

 「もっと強く揉んで」

 指示に従ううちに、固い筋肉がほぐれていった。

 「どうですか」

 「ん……おさまった」

 「よかった」

 手を脚から離して目の前のほそい腰にまわし口付ける。今度は背中に緊張が走った。

 「朝っぱらからやめろ」

 「ちょっとだけ」

 「もう少し眠りたい」

 「わかってます」

 シーツに埋もれているとゆうべの情事の匂いがした。そのあと丁寧に洗った薪のからだからは百合の香りが立ち上る。眠っているときの薪の体温は子供のように少し高い。温もりを辿って前に手をまわしたとき、指先が触れた。

 「……あれ」

 「やめろ」

 「でも」

 「足に力が入ったせいだ」

 「でも」

 「やめろってば――ああっ」

 急に声が大きくなって青木は驚いた。

 「あの――」

 「バカ、足がつった、今度は右」

 あっすみません、と手を離し、さきほどとは反対の膝から下に手のひらを当てる。

 「痛い痛い痛い」

 ちょっとすみません、と今度こそ起き上がり、薪をうつぶせにして、両手で膝下全体を包み込むように強く圧迫する。つま先まで張っていたのが、ほぐすうちに少しずつ力が抜けていった。

 「どうですか」

 「まだ痛い」

 「でももうよくなったでしょう」

 「なんとか」

 薪をそのままにして青木は横向きに並んだ。

 「おまえのせいだ」

 「俺ですか」

 「ゆうべ筋肉を使いすぎた」

 青木はぐっと詰まった。

 「すみません」

 今朝だけで何度目になるのか、謝って背中に手を当てると、肌がぴくりと揺れた。

 「触るな」

 「すみません」

 「もう少し眠りたい」

 「わかってます」

 「わかってない」

 薪は伏せたまま首を回して顔だけで青木を見た。「僕は、もう少し、眠りたいって言ったんだ」

 閉じていくまぶたの向こうで赤みを帯びた虹彩が光を失っていく。手のひらの下にある潤んだ肌は、赤子のような熱を鎮めて、正常値に落ち着きつつあった。代わりに少し高くなった陽がカーテンの隙間を三角形に抜けて、薪の上にシルエットを落とす。まつ毛の拡大された影絵が頬の上に描かれた。

 「もう……すこし」

 曇ったつぶやきを最後に、ほぐれたからだを沈めたまま薪は眠りに落ちていった。

 「だから、わかってます」

 ふたりでまたそっと毛布をかぶる。青木は陽炎が立ち上る白い花の香りの向こうに、幻のように美しい恋人を見つめて、眠らずに待つことにした。

 

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最後に安定のなごみ猫室長ズ写真を。仲良きことは美しきかな。

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うんうん、たにんの重みを感じて眠るってしあわせだよね……

にんげんの場合は厳密には眠ってないけどね……