こんばんは、心拍数が上がり続けて暴走気味の管理人です。血圧もあがってるかも。ゆーても元が90ー50なのであがったところで支障ありません。
猫曽我はさきほどやっと、ミルクをたっぷり飲んでくれました。あんまり心配かけんでくれ……
他の猫室長さんたちは、おまたのかさぶたが7割方きれいになり、下痢も少しずつ改善に向かっており、なんとか順調です。寒波が来るそうなので数日気をつけてようすを見ます。
猫の今井はますます図々しくなってきました。自分がかわいいことを疑っていないようです。
っていうかコレ薪にゃんでは……サーモンピンクのセーターを着てないのが不思議なんですが……
※ 猫今井が大きく見えますが同衾中の黒猫が小柄なのです
「離乳するまで布団で寝られると思うな」
さて、みなさまご存知だ、のなみたろうさんのイラストを眺めていて、妄想を拗らせました(連日こんなのばっかりやってます(寝ろよ)、現状過呼吸デフォルトです(眠れないのですべつに薪さんのせいだけではなく猫界隈も事件続きでして・・・))。
またしてもすごく短いおはなしです。
なみたろうさんご本人から許可をもぎ取ったので、あげます。
第九時代、付き合う前の若い青薪。あまり萌える要素のないおはなしで申し訳ありませんが、微妙な空気だった初々しいふたりを思い出しながら書きました。
北東北はいま、ちょうどハクモクレンの季節です。
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白い魔物
ぽうっとほのかに発光する花の大きく開いた枝をしならせて、揺らぐ空気の向こうの顔が振り向いた。
「この画です」
青木がダイヤル式のマウスを回して画像を一コマずつ進める。「つぼみが大きくて陰になっていて見えないんですが……ここ」
ほんの一瞬、ほんの一画面だった。拡大すると、凪いだ髪の隙間、花弁のひらめいたあちら側に、ごまかしようのないものが写っていた。
「議員バッヂ……と、名札」
「これで捜査令状がとれます」
「よくやった」
室長のそのセリフが出て、捜査経験の浅い部下は褒められたと嬉しくなった。
「満開の白木蓮がライト効果を持つんじゃないかっておまえが言い出したときは、どうかなと思ったが」
青木が不思議そうな顔をして薪を見る。
「俺、花の名前を言いましたか」
「白木蓮くらい僕だって知ってる」
「コブシと間違える人も多いんですが」
「捜査や鑑識の仕事は、犯罪の中に見出された証拠を分類し解釈して現実のものと同定していくことだ。似てる花を間違える程度の知識と観察眼でどうする」
報告書を1時間で出せ、と薪が席を立った。揺らいだ空気の奥、画面の中から白い花の匂いが漂ってきて、青木はハッとした。
十代の半ばに純真な心で付き合っていた女の子が、青木が1年早く高校生活を終えて上京し大学生活を始めた頃、よく近況を綴った葉書を送ってくれた。いつも彼女が使っていたフレッシュな花の香水がふってあって、それが届いた日は郵便の差し込み口から入れられたその香りで、帰宅時までにすでに部屋が別世界になっていた。人が運ぶ紙のメッセージはあの頃も今もすでに特殊な通信手段だったが、電子的なコミュニケーションがどれほど発達してもまだ運べないものがあることを、あの季節に青木は知った。
まさかMRI画像から白木蓮の香りが漂ってくるなんて、とついいましがたまで薪の座っていた椅子を回す。匂いが強くなり、そこでやっと、鼻孔をくすぐる熱気の出処がモニタでないことに気がついた。
頭がくらくらしたのは、闇に浮かぶ植物をずっと見つめていたせいだと思った。いまさら、あんな人っているんだな、と長い指を思い出す。桜の精霊は古木に宿り、人を惑わす悪魔のように美しい青年だと聞いたことがある。白木蓮のような木の寿命がそれほど長いとは考えにくいものの、でも厚い花弁が降るかのごとく咲き誇る巨木の下にあの人が立ったら、あれは人間だと言っても誰も信じないだろう、と青木は思った。
想像の中でむせかえる強い芳香を感じて、少しめまいがした。「第九」は春の入り口にあった。若い捜査員はまだ、自分がこれから落ちていく世界の底で待つ、抗い難く美しい魔物が、もうとなりにいることを知らなかった。
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