雑種のひみつの『秘密』

清水玲子先生の『秘密』について、思いの丈を吐露します。

S S「なんとなく、ブルー」

あ、あのー先日ナショジオのところでつぶやいた「わたしの英語名」というやつなんですが。

帰国子女とかじゃなくて、勝手に決めた名前です。香港人や ついでに台湾人も、それに北米の先住民なんかが、通り名的に使う英語名を自分で勝手に決める、という話を聞いて、カッコイイーと思って自分でもつけたものです。わりと外国人が発音しにくい苗字なもので。

文字書きのくせに言葉たらずという困った性癖があるので、付記しました。

 

うちはわたしの猫にもほぼ全員に二つ名があるんですよ……世の中が怖すぎて、悪い魔法使いに捕まって酷い目にあったりしないように、本名としての忌み名を決めて隠してあるのです。猫に関しては異様に心配性です。

室長さんたちに植物名がついているのもひとつにはそういう理由です。 植物名を知ってる人たちにとっては室長名が忌み名になります(わりといいかげんなシステムです)

 

 

11か月の中猫(里親募集中)のハラでおっぱいを探す、小さい山本さん。と便乗しようとする今井。

そのひと男の子です、っていっても女の子だからといっておっぱい出るわけじゃないんだから、オスだという言い訳はおかしいと毎回自分でも思う。

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こちらは岡部さんと小池の面倒を見てくれるうちの黒猫、これも仔猫好きの男の子。

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いっぽうで曽我が血便をしているので、明日は朝イチで病院へ行ってきます。

 

 

さて4月半ば、東大も新学期なので新学期っぽいものを書いてみました。 仕事が立て込んでるときほど書きたくなるって定石通りすぎて泣ける

学生すずまきのすごく短いおはなしです。2045年4月、東大入学後、1年生前期の一般教養科目を選んでいます。時期的に「創世記」と逆になるというか、4月にはふたりはまだ出会ってないはずなんですが、そのへんはスルーでお願いします。書きたかったんです仲良しすずまき(ヤバイ……だんだん青木が不要な気がしてきてしまう、自分正気に戻って……)。大昔に友人と交わした会話の一部を使ってみたくて。

村上R氏と田中Y氏のファンの方がいらしたらほんとごめんなさい、石投げないでください。

 

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なんとなく、ブルー

 

 中講義室でのオリエンテーションで、そこで薪を見つけるとは予想していなかった鈴木はかなり驚いた。

 「ここ「世界文学史」だぞ」

 「わかってるよ」

 「おまえこんなの興味あるの?」

 「正直にいえば、ない」

 薪は生真面目な顔を崩さずに言った。「文学そのものじゃなくて文学史には」

 「なんで来てんだ」

 「文学史なら少なくとも、知らないし」

 ああなるほど、と鈴木はすぐに納得してしまった。

 「そもそもなんで教養にいるんだ。おまえその気になれば学士で入れただろ」

 「1年生から入ったのは両親の足跡を辿るためだったから」

 「それは知ってるけど。もう必要ないよな」

 「おもしろいかもしれないと思ったんだよ。僕は京大は大学院しか行ってないから総合科目の授業なんか受けてないし、飛び級してるからバランス悪いだろ」

 「なんの」

 「人間の」

 薪は大真面目だった。「アメリカで飛び級が少ないのは、人格形成に支障が出ることが多いからだっていうぞ」

 鈴木は薪からそんな人間らしい言葉が出てきて驚いた。

 「殊勝なこころがけだな」

 「鈴木はなんでここにいるんだよ」

 「俺は通りがかっただけ。おまえが見えたから、迷子になったんじゃないかと心配したんだ」

 「授業とらないなら出てけよ」

 「とる気になった」

 鈴木は薪の隣に座った。「おまえと一緒なら面白いかも」

 「文学なんか読むのか。アウトドア人間のくせに」

 「ミステリくらいなら」

 鈴木はシラバスのサイトを開いた。「ご担当の三浦先生の急逝により、本講義は村上先生カッコ非常勤講師による代講となる、って書いてある」

 「どんな人」

 「小説家の甥っ子で評論家らしいぞ。ろくな肩書きじゃないな」

 「小説家って」

 「「20世紀を代表する」としか書いてない」

 「春樹か」

 そこへ当のM氏が入ってきた。

 「違うと思う」

 「違うな、あの顔。あの体型。あの人に似てる。ええとあの機嫌悪そうな感じの」

 「県知事やってた人じゃないか」

 「『限りなく透明に近い……』」

 「……『クリスタル』?」

 ふたりは教室を追い出され、文学史の講義を受けることはできなかった。

 

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