メロディ発売日(これ書いてるいまは日付が変わったばかりの時間でまだ入手してません)なので、今日はおとなしくしてようと思ってたんですけれども、ここんところ神経が昂ぶっていて(またかよ)短いのいろいろ書いてたらどれもこれもR気味になってしまって、このへんで一個あげて自分を落ち着けようと思いました。
まあでもわたしを刺激する歌人たちも悪いと思うんですよ実際……
レビュー読むためにブログを巡ってるんでそれどころじゃない、と思った方はスルーしてくださいほんとごめんなさい。
使えなかった「折りたたみ機能」がMacでも使えるようになったもようです。
ちょうどいいのでこの機会に、あんまり堂々と表にさらせないタイプのショートショートをこっそり載せます。
薪さんは終わった後に触られるのが苦手です。という設定はわたしのこの手の話のあちこちに出てきます。
小さい割に強いとか、その気になれば警備員も190センチの大男ものしちゃうとかいろいろありますが、徹夜続きで働けるのは精神力であって、肉体的な持久力だけはあんまりないと思う。
というおはなしです。
シャツを着たままなのはわたしの趣味です。
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堕天使
「青木。……水」
薪が事後にすぐ要求を出すのは珍しい。よほど喉が渇いたのだろう。正直なところ、今日は青木もかなりまいっていた。
「冷たいやつ」
「炭酸水でもいいですか……それしかなかった気がするんですが」
汗で乱れた前髪をかきあげて、よろよろと立ち上がる。冷蔵庫のドアもソーダ缶も重く感じた。薪さんお先にすみません、と心の中で詫びて、震える指でプルタブを引いて一気に半分ほど飲み干す。
ベッドに戻ると、薪はうつ伏せたまま、まだ大きく息をしていた。シャツが背中に張り付いて、翼のもぎ取られた痕を浮き上がらせていた。
「起きられますか」
「無理」
「触りますよ」
キュウ、と小動物のような唸り声をあげる薪をかかえるように抱き起こして、虚ろに潤んだ目を覗き込んだ。「飲んでください。甘くないですから」
「無理」
青木は一口含んで薪に流し込んだ。弱くはじける泡が刺激としては強かったようで、薪は少し悶えるように抵抗を試みた。
二口目を注ぎ込みながら、飲んでいることを確かめるように喉に指を這わせる。あふれ出た水で濡れた鎖骨と肋骨のあいだをなぞっておりていくと、薪のからだがこまかく跳ねた。
「やめろ。触れるな」
「無理です」
こんな堕天使のようなあなたの姿を見たら、と青木は思った。シャツを広げて肩を出し、火照ったからだを冷やしてやる。
「おまえ自分が動けるからって……」
「水、半分いただきました。残りはあなたのです」
続けてアルミ缶をあおる。薪を引き上げるには、まだまだ補給が必要だ。
「もう一本ありますから。俺んところに戻ってきてください」
何度も口移しで飲ませていると、震えながらも熱がさがっていくのがはっきりわかる。青木はピエタ像のように薪を抱いて、舌を絡め続けた。
天 使 に は で き な い こ と を し た 後 で 音 を 重 ね て 引 く プ ル リ ン グ ほ む ら/ひ ろ し
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